「家庭は良いけれども、産業ではなかなか再生可能エネルギーは無理でしょう。」、「再生可能エネルギーはコストが掛かりすぎる。今の産業を維持するには、安価で供給しやすいエネルギーが必要です。」と最近よく聞きます。
ここで一つ例として、ルノーの工場を紹介したいとおもいます。
ルノーは今年年明けにモロッコのタンジェ(工業地帯メルッサ)で敷地総面積は314ヘクタール工もの大規模な生産工場の生産を開始する予定です。
1月には量産は一時間30台あたりで開始され、最初は一年に17万台、後に40万台の自動車も生産される予定です。
モロッコ北部の最大級工業地帯には6,000人もの新しい雇用が創出されますと同時に、間接雇用創出効果は3万人と見込まれています。
当初の部品の38%だけが現地で調達されていますが、2015年あたりには57%まであげられます。
ルノーはすでに1928年にモロッコに輸出して、1966年にモロッコでの生産が開始。現地市場の29%を占めているルノー社はモロッコ国内の市場リーダーでもあります。
この工場建設に当たっての調印式にモロッコのジェトゥ首相及びゴーン社長が立会い、モロッコ国王ムハンマド六世も臨席されましたほど大事な工場です。
しかし、この工場はただの工場ではありません。二酸化炭層排出量がなんと、同サイズの従来の工場ニ比べ98%も削減されます。削減量は年間で13万5千トンの二酸化炭素にあたります。
下記の事を導入する事で、98%の削減が達成されます。
① 消費エネルギーの削減
エネルギー効率性の改善、再処理及び排熱しようによってエネルギー消費量の削減
自動車生産工程の中には塗装工程における消費エネルギーの割合がもっとも高いです。
従来の年間40万台もの車を生産する工場のエネルギーの7割は塗料工程で消費されています。
最先端の熱交換器で灰熱エネルギーを使用することで、消費エネルギーを35%もカットすることが出来ました。
② バイオマス
タンジェ工場では18MWのバイオマスボイラーによって、お湯が供給されます。
バイオマスは当初、現地の木材で持たないから、南部ヨーロッパからオリブの種を輸入する予定ですけど、四年もすれば現地でバイオマス使用の目的で植えられた短伐期ユカリ材が使用されます。従来の天然ガス使用ボイラーの二酸化炭素排出量はこうやってゼロになります。
③ それ以外の再生可能エネルギー
当初のプレスリリースでは風力発電・太陽光発電・水力発電等という二酸化炭素排出ゼロの再生可能エネルギーを使用と書いてあります。モロッコにはアフリカ大陸の最大風力発電パークがあります。しかし、2011年の資料を見ると、それは書いていなく、上のyoutubeの映像でも全てバイオマスだけで賄っているようにみえます。
④ 炭素クレジット
当初はどこまで削減できるかかわからなかったように見えますが、最初から余分の二酸化炭素が発生するのであれば、クレジットで払うことが決められました。残っているのはたった2%であって、それは炭素クレジットで支払われています。クレジットで二酸化炭素削減に積極的に取り組んでいるプロジェクトを支援しています。
それから、あんなスケールの工場ですから、排水も当然心配しますね。確かに、地球の人の2割以上は水不足に悩んでいる一方、ヨーロッパ人は水を使いすぎています。おそらく水はこれからも大きな問題になるに違いありません。ルノー社は水の再処理を大切だと思って、フランスのVeolia Environnement社も提携しました。
工場排水への排出はゼロにし、水使用量も従来の70%に抑えられています。排水は全て再処理され、化学脱イオン化した水が生産工程に再使用されます。年間に合計437,500㎥の水が節水されます。それは175面のオリンピックサイズのプールに相当するサイズ。
このニュースを教えてくれたのはドイツ人の友達のSさんでした。家族は代々ルノー車に乗っていて、私の初車もルノーでしたので、興味深く調べました調べました。
フランス語のプレスリリース、英語のプレスリリース、ドイツ語のプレスリリースは見つかったけれども、なぜか日本語のプレスリリースは見当たりません。日産もルノーのホームページにもありません。
一片の疑念だけですけど、もうしかすると、そのニュースは日本国内で出されると、プレスリリースが自動車業界にプレッシャーを与えることでしょうか。
そんなことはないんですよね?