EPR (European Pressurized Reactor、欧州加圧水型炉)の建設は一週間前に85億ユーロ(1兆457億円)と発表されました。2005年に建設が開始されてから、50億ユーロも増えたということです。運営会社のEdFによると、それはフクシマ後の安全対策による増額です。
今まで、フランスでも「原発の電力は安い」という論拠は強かったものの、少し変わりつつあります。
フランスのセントラルヒーティングのほとんどはガスではなく、電力で動いています。冬に原発の電力が落ちて、ドイツの再生可能エネルギー電力を大量に輸入する羽目までなりました。
もっともフランスの古い原発は独仏国境にありますけど、4年後にとめるとの事です。フラマンヴィルはその時に運営開始する予定です。なんと6年もの遅れで・・・
「85億ユーロの無駄使い。より有意義な選択もあった」とSortir du Nucléaireの Charlotte Mijeonがのべる。
フランス人は食料はいくら高くても文句は言わない気がしますけど、電力費はセンシティブな問題です。先日のアンケートで「2025年まで原子力を半分にしてもいいけれども、エネルギー費を増やしてはいけません」と65%が答えました。(エネルギー費、つまり化石燃料の上昇には、原子力は影響があまりないけれども・・・) 64%は原子力を主なエネルギー源に同意していました。
工事をやめるべきという世論調査に対して、回答者の1000人のうち、39%はやめるべきと答えていました。面白いことに、男性の30%だけがやめるべきと述べたのに対して、女性は48%もやめるべきと述べました。(どこの国でも男女差は同じですね)
コストもご覧の通りに急増しました。建設開始時にはたった30億ユーロだったのに、今はその三倍も・・・
しかし、フラマンヴィル原発のことがあって、話が少し変わってきました。
「原発は安いと長らく信じてきました」と、 Corps des Mines卒業者まで述べる。 Ecole Nationale Supérieure des Mines de Paris (パリ国立高等鉱業学校)はフランスのエリート大学で、その出身者はフランスの原子力方針を決める機関です。Corps des Minesは経済産業省管轄であって、その原子力の相談役は全員Corps des Minesのメンバーです。その他の卒業者はEdF、アレバ、原子力保安委員会の委員です。この学校の卒業者(若い世代)でさえ原発を疑っているとは、一つのサインなんじゃないか?
フラマンヴィル原発はどうなるのか、これから少しみてみたいですね。