クララの八百八町: 808 Towns

自ら助くるもの、第六弾： やはりおすすめしない

このエントリーは「自ら助くるもの」シリーズの第六弾です。その他のエントリーは：
第壱弾：　今の日本語よく解らなかった
第弐弾：　検討しましょう
第参弾：　デートの誘いに便利！
第四弾：　日本側は情報を持っているのに、出してない
第伍弾：　大人の決断

クララ
ハトさんは自分で決めないといけないということを言っているけど、研究滞在をはやく終わらせて、素敵なだんなさんとかわいいお嬢様を先に送って、ここで片付けて帰国するんだね。どのようにそれを決めたの？
ハト
私も母国で専門家に相談した時に、
「おすすめできない。もし行くんだったら、放射能を浴びるか浴びないか、雨の中のような人生になる。降られるか降られないか。だから、おすすめしない。」
と言われた。
私にはそれがはっきりした答えだった。
でも、放射能は自分にどのような影響を及ぼすか、という質問に対しては結局答えがないよね。
人がそれぞれ少し違うので、ある人は少しだけ浴びたら危ないかもしれないけれど、、他の人は高い放射能を浴びても問題ないかもしれない。、だから、「貴方たちの健康に影響が出るか出ないかはいえない」とその専門家は言っていた。。
ただ、同時に言われたのは、
「貴女は一人の母親として、子供のことを考えているでしょう。私は、リスクを否定できないので、子供をもう一度日本に連れて行くことをおすすめできないし、貴方にも滞在をおすすめできない。子供はこれから貴女を長く必要とする。その責任を考えれば、やっぱりおすすめはしない。自分の娘とか、息子が行こうとすれば、とめることはできないんだけれども、おすすめしないとはっきり伝えておく。」
私にとって、その
「おすすめしない」
という言葉ははっきりしたメッセージだった。
クララ
まあ、これは母国の方に言われたけれども、その婉曲表現の裏を読み取るのは、ある程度文化の背景で身に付くものですね。日本語が母国語ではない私も時々困っている。ハトさんもそうだよね？
ハト
どこまでは婉曲なのか、どこからはっきりした言い方なのか、区別するのも、時々難しいような気がする。例えば、先の例を挙げると、
「検討します。」
「考えておきます」
は、日本人同士でもわかる時とわからない時があるらしい。
同じ文化の環境で育った人は
「こういう場面でこういう言葉であれば、こういう解釈ができる」という共通の意識がある。
「検討します」のように、解釈が二つある言葉の場合は、言葉の話し方、イントネーション、全体的な雰囲気から、断られたか、本当に検討してもらえるか、読み取ることができるらしい。
日本人も「読み取るしかない」
と言っている。外国人にとってははっきり分からない言葉が、日本人にとってははっきりしている場合が多いかもしれない。
例えば、断るときに、「ちょっと･･･、色々忙しくて･･･」、
または、「用事が入っているので･･･」
のような表現が使われているよね。。
それが「断り」だと知ってたら、婉曲だと思ったり、違和感があったりしない。
でもそのような断り方を知らない外国人からみれば、違和感がある。「何で忙しいの？どんな用事があるの？」と聞きたくなる。
誰の視点からみれば曖昧と判断するかということも考えないといけないと思う。

 

 

自ら助くるもの、第伍弾： 大人の決断

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第弐弾：　検討しましょう
第参弾：　デートの誘いに便利！
第四弾：　日本側は情報を持っているのに、出してない

クララ
日本だけではなく、ドイツの大使館のホームページにも
「首都圏にいるのはおすすめできない」
ってだけ書いてあった。
「出てください」
なんてもちろん書いていない。それで、
「おすすめできない？じゃあ、俺、何をすればいいのよ？」
と怒ったドイツ人はかなりいた。
「おすすめできない」
というのも婉曲表現だね。
ハト
そのとおりだね。
でも、政府や大使館の立場を考えてみれば、わかる。私は、こういうのを体験している。
秋から来日が決まった教え子に、
「行っても大丈夫か。」
と相談された。そう聞かれると、迷ってしまう。、
本当は「大丈夫かもしれないし、大丈夫じゃないかもしれない」
のような状況なので、
まずはリスクがあることを
意識してほしい。
でも、相手が大人だから、
「日本へ行かないでくださいよ。」
と答えるのもなかなか難しいでしょう。
だから、まずはリスクを意識して欲しいと思う。地震が起きるリスク、放射能を浴びるリスク、汚染された食料を食べるリスクを否定できないから。
そういうことをやっぱりはっきりと伝えた方がいいと思っている。
でも、学生はどうしても、行きたいのであれば、それを禁じる権利は教師にはない。
学生は大人だから。
だから、リスクのことを正直に伝えた上でも、学生が行きたいのであれば、個人の責任で決めてもらうしかない。また、こちらがその個人の判断を認めるしかないと私は思う。
政府（大使館）の立場にしてみれば、政府にも個人一人一人の人生を決める権利がない。政府（大使館）としては「おすすめできるかできないか」と言えるんだけれども、「出てください」という権利まではないでしょう。
「おすすめしない」とは婉曲表現かもしれないね。
でも、それを読み取れば、はっきりとしたメッセージでもあると思う。

インタビュー「自ら助くるもの、第六弾：　やはりおすすめしない」は明後日あたりになります。
明後日、明々後日であっても是非ご一読ください♪

 

 

自ら助くるもの、第四弾： 日本側は情報を持っているのに、出してない

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第壱弾：　今の日本語よく解らなかった
第弐弾：　検討しましょう
第参弾：　デートの誘いに便利！

クララ
この二ヶ月で、欧米のメディアで色々な誤訳もあったと思う。はっきり調べてはいないけど、なんとなく、そういう気がする。
例えば、ついこの間 （インタビューがかなり前に行われました）、首相が浜岡原発の停止を日本語で「要請」していました。まあ、「要請」は、つまり「してください」ということだね。
しかし、英語･ドイツ語圏のメディアでは「order」、つまり「命令」と書いてあったね。
3･11後にドイツ語圏や英語圏のメディアがけっこう日本の報道を批判していた気がする。それは、
「日本側は情報を持っているのに、出してない」
「何か裏で企んでいるんじゃない？」
「本当に事実を伝えているのかな。」
といったことだと。
でもね、下手に翻訳している人が間に入っていた可能性もあると私は思う。
例えば、
「～の見込みがある」
「～と思われる」
「～がわかった」
とか、というのが直訳されて、欧米の方で「なにこれ？」と思うかもしれない。
ハト
私も地震の後、原発事故が起きたとき、情報がたくさん流れていたけれど、「だから何？」という結論までは分からないと感じた。
朝から夜までニュースを見ていてもだから、どうすればいい？どのように行動をすればいいのかわからないという気持ちが強かった。
「つまり、決めるための情報が足りなかったんだ。
クララ
それは情報がなかったということ？それとも情報の内容のことなの？
ハト
それは、例えば、「これぐらいの数値が出ている」と報道されていたけれど、その数値の意味を具体的に教えてくれなくて、解説が全くなかった。
例えば、この数値はこういうことを意味していて、これぐらいの時間は外にいても、大人の体に、子供の体に影響がない、これぐらいの時間であれば、これぐらいの影響があるかもしれないなどのような詳しい解説が欲しかった。でもそういうのがなかった。
それもあって、なかなか自分の行動が決められなかった。
私はもっと詳しい解説がほしいタイプかもしれない。
ニュースを見て、報道者に感じたのは
「私たちは情報をたくさん流していますよ。うそをついていませんよ。だから、報道者の役割は果たしていますよ。」
もちろん、パニックを抑えるために、ある程度柔らかく伝える必要もあった。
政府側もいつもやんわりと表現していて、国民がパニックにならないことを考えていると思う。まあ、当たり前かもしれないね。

インタビュー「自ら助くるもの、第伍弾：　大人の決断」は明後日あたりになります。
明後日、明々後日であっても読んで下さい♪

自ら助くるもの、第参弾： デートの誘いに便利！

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第壱弾：　今の日本語よく解らなかった
第弐弾：　検討しましょう

クララ
婉曲表現は別の時にも使われるんですか。
ハト
断る時によく出るんだけれど。、さっきの
「いけたらいけます」
「考えておきます」
「検討します」
はその例。
それから、相手に情報を求める質問に対して、相手から全く聞いていない情報が来るということもあるのに気づいた。そういうときは、
「どうして、そのような返事をされるのか」と考える必要がある。
考えられる理由は、相手が
    ※    質問に対する答えがわからない
    ※    答えはしたくない
    ※      「わからない」とは言えない状況にいるとか。
婉曲表現を使うことで「わからないことを伝えようとする」目的のほかに、
    ※    会社を守るとか、
    ※    自分の立場を守る
という理由で答えが言えないことが考えられる。
だから、わざわざ婉曲を通じて相手に状況を察してもらうことにする。
クララ
デートに誘われて、それを使うのは便利かもね（笑）
ハト
そうだね。
ある男性の友人が女性をどこかに誘いたいとき、婉曲を使って、時間が空いているかどうかを探ると言っていた。
直接「どっか行こうよ！」と言わずに、「･･･、あのさ、明日、あいてる？」というような感じで・・・

インタビュー「自ら助くるもの、第四弾：　日本側は情報を持っているのに、出してない」は明後日あたりになります。
明後日、明々後日であっても是非ご一読ください♪

自ら助くるもの、第弐弾： 検討しましょう

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第壱弾：　今の日本語よく解らなかった

クララ
 婉曲表現とは日本独特なの？
ハト
婉曲表現とか配慮表現はどの言語にもあると思う。そして、どの文化、どの国にも物事を「直接言いたい」人や、「直接言ってほしい」人もいれば、「柔らかく言いたい」、あるいは「柔らかく言ってほしい」人も、いるはず。
私は相手に「直接言ってほしいし、自分も直接言いたい」タイプかな。相手が直接言ってくれないと、自分が鈍いから、伝わってこないよ（笑）
だから、婉曲が苦手。苦手だからこそ、もっと知りたいと思った。
クララ
婉曲表現はなかなか難しいよね。
ドイツ人も使うけど、けっこう直球なんだよね。
私は最初に日本語を教わってもらった先生をホームパーティに誘っていたのよ。先生というよりは友達なんだけどね。その時は、かろうじて平仮名が読めたんだから、会話は完全にドイツ語だった。
先生の返事は「行けたら行く」だったよ。
まあ、「検討します」、つまり「いけない可能性は高いけど、招待ありがとう」ということになるね。
それで、当日、「何で来ないのかな？何があったんだろう？」と。
ハト
婉曲表現や配慮表現が求められている場面があるから、使われていると思う。
例えば、日本語では、人に何かを依頼するとき
「もし、お時間があれば･･･」
「よかったら・・・」
といって、やんわりと本題に入ったりする。これは、
相手に配慮を示す言葉で、一種の「間接性」を表している。
これもどの言語にもある表現だけれど、日本人がお願い事をしたり、人を誘ったりするとき、西洋人より頻繁に遣うような気がする。
そういう切り出しを使わないと、相手が言っていることをダイレクトで、ストレートに感じるかもしれない。
同じ文化圏で長年同じ会話のパターンが使われている。
だから、その文化で生まれ育った人は、子供の時から無意識的にパターンを身につけるでしょう。
しかし、言葉の裏には必ず文化がある。言葉をどのように使うかによって、その文化で何に価値がおかれているかが分かるはず。私は、配慮表現、婉曲表現が多いと感じる日本文化では、この言葉を通して、人が何に価値をおいているかについてもっと知りたい。

インタビュー「自ら助くるもの、第参弾：　デートの誘いに便利！」は明後日あたりになります。
読んでてね♪

自ら助くるもの、第壱弾： 今の日本語よく解らなかった

ずっと前にインタビューシリーズで、サンドラさんをはじめ、色々な在日外国人のインタビューをすると言っていましたけれども、三遊亭兼好師匠をドイツに連れて忙しかったため、ずっと何もしなかったです。インタビューは半年分のブログエントリーはありますが、それらのテープお越しと、インタビュー相手による編集で色々大変です。
インタビューシリーズをリースターとさせて、インタビュー相手は、ヨーロッパ人の言語学者の「ハト」さん。本人のご希望によって本名は控えさせて頂きます。30代、言語学者、二児の母です。

自ら助くるもの、第壱弾：　今の日本語よく解らなかった

クララ
 ハトさんの仕事は･･･　日本語教育といえばいいの？
母国で日本語を教えているよね。それから、研究テーマは･･･婉曲表現だよね、・・・その、婉曲表現とは、どういうことですか。
ハト
表で本当に心の中で思っていることを言わない方がいい場面があるよね。それは日本文化だけじゃなくて、どの文化も同じだけれども、物事をそのままストレートに言わないことに関しては、日本文化と自分の文化には少し違うところがあるような気がする。
日本人と話すとき、「今の言い方の意味がよく解らなかった」、「この表現は本当はどういう意味だったかな、相手はどういうことがいいたいだろう」と思ったりすることがある。
そういうところをもっと詳しく知りたいと思って、この研究をやりはじめた。
クララ
へえ。そういうことだね。私たちは今はカフェにいるけど、例えば、このカフェに出会いそうな、思いつくような表現はありますか？
ハト
ここにはないけど、前に行ったあるカフェのテーブルにボトルが置いてあった。そのボトルに英語で「Please smoke outside」って書いてあった。それに対して、日本語では「タバコは外で吸うと気持ちが良いです。」と書いてあった。英語での依頼はストレートだけれども、日本語はそれと違う。日本語は、「タバコはご遠慮ください」ではなくて、もっと控えめな表現だね。
内容としては同じことが伝わってくる。でも、日本語のほうが柔らかくて、お客さんの気持ちになるべく触らないように書いてあると感じた。
クララ
ドイツ語だと、絶対に大きな文字で「禁・煙」とだけ書いてある。（笑）
ハト
（笑）そうそうそう、あるいは、マークで書いてあったりするよね。だけど、この話を自分の国で同僚に話したとき、英語がとても上手な同僚が「Please smoke outside」はそんなに丁寧な英語ではないと思うよ」と指摘していたけれど。
クララ
Please refrain from smokingとか
ハト
そうね、もっと丁寧な英語もあるよね。、どこまでそのお店の英語は本物だったか、わからないしね。

インタビュー「自ら助くるもの、第弐弾：　検討しましょう」は明後日あたりになります。
長い会話のテープ起こしは大変ですから、ご了承ください。

3・11後のグローバルな人間関系: 笑うのが大事

 

インタビュー「3・11後のグローバルな人間関系、第伍弾」

以前に、このブログは「外国人観光客を東京案内するアドバイスブログ」 でしたけれども、観光客は放射能を恐れて、なかなか東京、いや日本に来ないため、「在日歴の長い外国人とのインタビュー」というシリーズを書き始めまし た。様々な方と話して、その会話をテープ起こしして、ここで紹介します。それぞれは、国によって、視点が違って、きっと面白いと思いました。面白いかどう かは、結局、あなた、読者が決めるんですけどね。

最初ののインタビュー相手は、在日ドイツ人のサンドラ・ヘフェリンさんです。（プロフィールはこちらまで）

第壱弾：「原発事故直後、ビジネスや職場で起きた問題」

第弐弾：「原発事故直後、プライベートな人間関係で起きた問題」

第参弾：「二重基準の適用？」

第四弾：「精神的な鎖国が怖い？」

クララ:
日本人の、海外でのイメージもけっこう変わった気がしませんか。―

サンドラ：
さっき話したのは、「日本にいる外国人の事」なんだけれども、今、もっとも心配なのは、ヨーロッパでの「日本」のイメージ。昔は、「日本＝漫画」や「日本=お寿司」だった。でも、これからはどんなに日本のこと知らない人でも、一回新聞で原発の事を読んでいるから、そうすると、一部の欧米人、一部のドイツ人が持っている「日本のイメージ」を非常に心配している。それは、日本にいるドイツ人、欧米人の事ではなく、ドイツの田舎のドイツ人とか、ヨーロッパの田舎の人たち。そういう人たちの中では、日本イコール「原発」、日本イコール「放射能で汚染された国」という風になっちゃっている。日本人が例えばヨーロッパに遊びに行った時に、そういう変な、被曝者差別を受けることがね、心配で怖い。
なんていうのかな、、あからさまな「近寄らないでよ。」という差別じゃなくても、もう少し曖昧な「え～？・・・・・・日本人が来るの・・・？」というようなリアクションが怖い。以前みたいにウエルカムじゃなくなるとしたら、残念なことだよね。
でも語学留学で海外に行く日本人、それから日本人の観光客はこれに負けずにこれからもどんどん海外に行くべきだと思う。
日本人はやっぱりそれほど気が強い民族じゃないから、海外で差別されても抗議をしないことも多いけど、負けないでほしい。
実際、海外旅行を計画中の日本人から「どうなんですか、海外で歓迎されないなら、行くのをやめようとおもいますが、どう思いますか。」と聞かれたが、三人の日本人に聞かれたが、　個人的には負けずに行ってほしいなあ。

海外で差別されないとも言えないけど、ここで日本人はむしろ自分はいじめっ子になったつもりで、もう少し強く出る必要があると思う。

クララ：
これから、観光客を日本に呼ぶような大きいキャンペーンというよりは、日本人がどんどん海外に行って、一対一の交流をするべき。「ああ、なんともないんだ。」とね。私は今度ね、7月に落語家を二人連れて行く。高座からの交流だから、一対一にはならないけれども、笑いを通しての国際交流に個人的に結構期待しているのよ。

サンドラ：
笑うのは大事だよね。
それから、さっき話した通り、「強くなる」しかない。
そうそう、、乙武さんのユーモアが素晴らしい。
誰かがね、twitter経由だったかもしれない、乙武さんに、放射能の影響で、手足のない子供が生まれたりしたらどうしよう、的な事を質問していたんだけど、乙武さんは、「僕はもともと手足がないから、僕は被曝したら、生えてくるのかな？」って返してた。笑っちゃんったんだけど、こういうユーモアセンスを持てるようになったら勝ちだね。
そこまで言える人はなかなかいない。
あのユーモアセンスが持てたら、何も怖くない。乙武さんは人間ができているんだろうなあ。
それから、ツイッターだったと思うけど、ある人が乙武さんに質問したんですよ。「すみません、乙武さんは指紋はあるんですか。」って、そうすると、かなり丁寧に答えた。「僕は指紋はないし、ちなみに、足もないから泥棒に行っても足がつかない。」
すごい切り返し術＆ユーモア力（りょく）！
それは見習うべきと思う。問題が起きた時に、自分の殻にこもるのは簡単だけど、むしろそれを笑いにするのがいい。
もし、海外にいて、「日本人は皆被曝しているんでしょう。」と言われたら、なんか良い切り返し術ないですかね・・・ちょっと考えてみます・・・

インタビュー「3・11後のグローバルな人間関系」はこれで終わりました。

読んで頂き、ありがとうございました。

クララの最後のコメント：

私もこの「3・11後のグローバルな人間関係」についていろいろ考えていたけど、こうやって、サンドラさんも色々突っ込んでくれて、本当にも面白かった。

笑うのが本当に大事ですね。皆さん、是非、落語でも聞きに行ってください。今日の気分のおすすめは入船亭扇辰師匠です。後は、随分先ですけど、日独交流150周年記念落語会である柳家喬太郎一座の独【逸】演会も是非いらして下さい♪

3・11後のグローバルな人間関系： 精神的な鎖国が怖い

インタビュー「3・11後のグローバルな人間関系、第参弾」

以前に、このブログは「外国人観光客を東京案内するアドバイスブログ」 でしたけれども、観光客は放射能を恐れて、なかなか東京、いや日本に来ないため、「在日歴の長い外国人とのインタビュー」というシリーズを書き始めまし た。様々な方と話して、その会話をテープ起こしして、ここで紹介します。それぞれは、国によって、視点が違って、きっと面白いと思いました。面白いかどう かは、結局、あなた、読者が決めるんですけどね。

最初ののインタビュー相手は、在日ドイツ人のサンドラ・ヘフェリンさんです。（プロフィールはこちらまで）

第壱弾：「原発事故直後、ビジネスや職場で起きた問題」

第弐弾：「原発事故直後、プライベートな人間関係で起きた問題」

第参弾：「二重基準の適用？」

クララ:
そのギャップを埋める方法はあるのでしょうか。

サンドラ:
原発は大きいことだから、ちょっと小っちゃい問題が起きたとかじゃない。じっくり時間をかけて、お互いに分かち合っていかないと、ギャップは埋まらない。それはすごく懸念している事である。
ギャップはもちろん埋まった方がいい。埋まらないと前に進めない。
一番恐れているのは、日本が精神的に鎖国の様な感じになること。
「もう、私たち日本人は日本人で頑張るから。結構です。」みたいな。もちろんその背景には日本人が原発が理由で外国で差別を受けていることなどもあるのだけれど、でもどんな状況になっても精神面で「鎖国」みたいになるのは今の時代にふさわしくないと思う。
いくら原発に問題があるにしても、21世紀だから、どんどん交流しないといけない。
経済的にも文化的にも。経済的に交流することは、ある程度、人間も移動するという事だから、人間同士で付き合っていかなきゃいけない。もちろん、それをパッと分けて、ビジネスはビジネス、人間の面で付き合わない、ということ も、まあ、できなくはないだろうけど、そうだとしたらとても残念だと思っている。
今回思うのは、国籍に関係なく、今の日本がおかれている状況に関係なく、3月半ばみたいな危機的な状態になると、その異文化のギャップが、こう、噴火する火山みたいに、バーンと表に出るんだなぁ、ということ。平和の時は、「まあまあまあ」とお互いにあまり見えなかったもの・見ようとしなかった違いが、今回ハッキリと出ていたから、それはすごく勉強になった。
それが分かったことは、一つの収穫だと思う。
前は、「危機的状況になっても、お互い話し合えば、大丈夫」と思っていたけれど、意外とお互いの事を話し合っても、わからなかったりするんだよね。

クララ:
ここで、震災後の日本人の、日本国内の状態に関する反応は、どう思う？

サンドラ:
日本語で「事なかれ主義」という表現があるでしょう。今回の原発事故後もというのは、事なかれ主義がよく出ている。
こうやって、「放射能は出たけど、でもなんか、普段通りでしょう。」と思い込もうとしていること。もちろん、東京は今すぐに危険な状態ではないんだけれども、もうちょっとシビアにみて、「これから何年間はこうなっていくんだ」とかね、そういう事は考えても良さそうじゃない？
それを考えるのはイコールパニックを煽るのではなく、そういう事を考えつつ、普通に生活をする。
全く健全なことだから、「とりあえず、原発の事は話さないで、私はグルメの話しかしない」とか、「原発には触れず、洋服やオシャレの話しかしない」というのは、まあ、私はドイツ人だからかもしれないけれども、「それは違うなんじゃない？」と思って・・・
いいバランスは大事。今の状況をちゃんと見て、考えてほしい。
以上、お説教でした（笑）

3・11後のグローバルな人間関系： 二重基準の適用？

インタビュー「3・11後のグローバルな人間関系、第参弾」

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最初ののインタビュー相手は、在日ドイツ人のサンドラ・ヘフェリンさんです。（プロフィールはこちらまで）

第壱弾：「原発事故直後、ビジネスや職場で起きた問題」

第弐弾：「原発事故直後、プライベートな人間関係で起きた問題」

クララ:
  国籍を問わず、日本を出た人、日本を出なかった人をサンドラさんは両方見たと思うけれども、日本を出る人に対しての、日本人のリアクションについてはどう思った？

サンドラ:
  けっこう、今回思ったのは、一部の日本人は自分の立場でしかものを見ていなかった、ということ。「外国人は景気がいい時は日本にいるけど、日本が大変な時はスグ出て行っちゃうのね。」という言い方が多かった。
でも例えば、9・11が起こった時に、アメリカに留学していた日本人はもちろん日本に帰国した。その時に、日本に帰ってきた日本人は、家族に「無事に日本に帰ってこれて本当によかった。」と言われた。
「無事に平和な日本に帰ってこれてよかった。」そういう雰囲気だったよね。
  外国にいる日本人が大変な目に遭うと、日本にいる家族はもちろんみんな心配します。日本のマスコミも、日本の安否情報について書く。それは、当然、テロだけじゃなくて、ニュージーランドの地震でもそうだった。

クララ：
  スマトラ島沖地震でもそうだね

サンドラ：
  そうそう。地震、災害の時は、日本の感覚として、「日本人は日本に帰ってくる」のが普通。
日本に住んでいる外国人にももちろん外国に家族がいて、その家族はもちろん心配する。地震、津波、原発の事はもちろん、海外のニュースでもやっているのだから、「日本にいるウチの子は大丈夫なのかしら？」と心配する。
例えば、日本にいる外国人は「自分は大丈」夫だと思っていても、心配する家族を安心させてあげたいことが理由で出国した人だっていた。言葉にして、「日本に住んでいる外国人にも家族がいて、その海外の家族も心配しているから、帰ったんですよ。」と、本来はそんな説明をしなくても、自分に置き換えてみれば解るはずなの。
戦争と震災はもちろん比較できないけれども、アメリカが攻撃する前には日本人もイラクにいた。戦争が勃発して、日本人は日本に帰ってくる。日本の外務省だって、「出て下さい」と指示する。その時に、「僕がイラクに居続けると、イラク人は喜ぶ。だから僕はイラクに居よう」と考えた人はあまりいないと思う。むしろ、イラクに居続けたら、日本にいる日本人に「なんで、そんな危険な場所に居続けるの？」と思われる。
  原発事故が起きた直後、3月13、14、15日あたりに、もし日本人が「外国人も日本人の気持ちををくみ取って、日本に留まってほしい」と思っていたのだとしたら、それはすごくね、期待し過ぎだと思っている。日本人も外国にいて、そこで内戦や災害など危険な状態に遭うと、日本に帰国する。それは全然悪い事じゃない。基本、パスポートがあれば、人間はどこに行っても、それはその人の「自由」だから。
  でも、そういう「大変な時に、あの人は逃げたんでしょう？」というのは、「気持ち」としてはとてもよく解るけど、他人の事情に入り過ぎだとも同時に思う。自分の行動をいちいち他の人に説明しなきゃいけない状況こそおかしい。 

クララ：
  もちろん、外国人の友達がいなくなって、不安になった人もいたんでしょうね。

サンドラ：
  いたに違いない。外国人がいなくなった状況を不安に思うとはすごく分かる。人間として当たり前。でも今後、「日本では原発が完全に治ってはいないけど、それでも日本にいて！」と外国人に対して、「要求」はできないのが難しいところ。この問題はほんとうに複雑で、やっぱりお互いに説明して分かりあわないと、どんどんそのギャプが大きくなって、お互いに誤解したまま、お互いに悪い印象を持ったままになる。日本人からすると、「あの人（外国人）は逃げた人」、外国人からすると、「こんな大変な時に、日本の政府はいつまでもレベル７と言わないで、　最後の最後、三週間が経ってやっと公表した。」という思いもある。
はっきり言うと、その「わだかまり」みたいなものは簡単には解決できないので、これからじっくり時間をかけて解決していくしかないね。

インタビュー「3・11後のグローバルな人間関系、第四弾」は明後日あたりになります。

長い会話のテープ起こしは大変ですから、ご了承ください。

3・11後のグローバルな人間関系: 原発事故直後、プライベートな人間関係で起きた問題

インタビュー「3・11後のグローバルな人間関系、第弐弾」

以前に、このブログは「外国人観光客を東京案内するアドバイスブログ」 でしたけれども、観光客は放射能を恐れて、なかなか東京、いや日本に来ないため、「在日歴の長い外国人とのインタビュー」というシリーズを書き始めまし た。様々な方と話して、その会話をテープ起こしして、ここで紹介します。それぞれは、国によって、視点が違って、きっと面白いと思いました。面白いかどう かは、結局、あなた、読者が決めるんですけどね。

最初ののインタビュー相手は、在日ドイツ人のサンドラ・ヘフェリンさんです。

プロフィールはこちらまで。

第壱弾：「原発事故直後、ビジネスや職場で起きた問題」

クララ:
日本人と外国人の間の、こういう問題、誤解はきっと、仕事だけではなく、家族、友達と言った人間関係でもあったよね？

サンドラ:
そう。単純な例でいうと、友達や家族といった人間関係でも、お互いに分かり合えない部分が非常にたくさんあった。その原発の問題が起きてから、
例えば、日本人とドイツ人の夫婦がいて、二人は日本に長く住んでいる。やっぱりドイツ人の旦那さんは一家でドイツに逃げたい。でも日本人の奥さんは逃げたくない。そうすると、子供はどうする？もちろん、お父さんは子供と奥さんを連れてドイツに行きたい。けど、日本人の奥さん、それから日本人の奥さんのご両親は、「なに、あの外人たち、そんな騒いでんの？東京はまだ、シーベルトの値は全然危険な状況じゃないのに、なんでそんな騒ぐ必要があるの？」という反応だった。すごい温度差がある。

クララ：
ドイツでも、まあ、サンドラさんは【バイエルン州の】ミュンヘン出身でよく分かると思うけど、ドイツが、チェルノブイリにやられて、今でもバイエルン州ではキノコが食べられないですよね。

サンドラ：
ミュンヘン、バイエルン州全体はキノコは今でも食べられない。キノコを食べている猪も食べられない。子供が砂場で遊べない時期もあった。

クララ:
ああ、あった、あった。覚えている。

サンドラ：
ドイツは結構、シビアな内容の事も何でも報道しちゃうから、何年か経ってもチェルノブイリのことは、ドイツの雑誌で結構頻繁に取り上げられてた。ウクライナで病気になった子供の記事。子供の癌だったり、生まれてくる奇形児の子供の事も報道されていた。チェルノブイリ事故はドイツ国内の事ではないけれども、ドイツの雑誌で事故についてたくさん取り上げられていて、皆はそれを今も覚えていて意識している。例えば、事故自体は何週間かででおさまっても、4年後5年後にはそいういう問題が出てくる。それは、皆意識している。忘れていない。
そういう背景があるから、多くのドイツ人は日本人に「今は東京は数値がこうだから安心して」と言われても、そう簡単に安心できない部分がある。
原発はどうなるかわからない。しかも、3月はまだ福島第一は大変だったから、決して、原発を冷却してオッケーのような状態ではなかった。だから、余計、信用をしなかったドイツ人が多かった。

インタビュー「3・11後のグローバルな人間関系、第参弾」は明後日かしあさってになります。

長い会話のテープ起こしは大変ですから、お待ちください