これから行く天神の手前に「船橋屋」という和菓子の店がある。
船橋屋はなんと、文化二年に創業された、つまり、1805年、205年もの歴史のある店です。
落語散歩に相応しい店でしょう?
以前に、行きましたいせ辰、羽二重団子と笹乃雪と同様に、船橋屋も東都のれん会の店です。「初代の勘助のご出身は下総国の船橋だった」ため、今の名前も船橋屋です。(へえ、船橋は下総国だったんだ… よくよくみたら、今の茨城県南部(龍ケ崎市!常総市!)も入ってしまうんですね…勉強になりました。)
205年前には、下総国が良質な小麦で有名だったそうで、その勘助は、
亀戸天神が梅や藤の季節に、参拝客でにぎわうのを見て上京し、湯で練った小麦澱粉をせいろで蒸し、黒蜜きな粉をかけて餅を作り上げました。
「まだ、昔の面影があるんだね。」
「うん、200年で色々な人は、このくず餅を食べたんだね・・・」
「ねえ。で、私たちもここに… 歴史のある店はいいですね。」
「ねえ、スタバよりいいよね!」
と後に調べたら、芥川龍之介、永井荷風、吉川栄治もしばしば足を運んだそうです。そして、船橋屋の看板もあの「宮本武蔵」をかいた吉川英治の肉筆だそうです。その看板は今でも喫茶ルームに掲げられていますよ!
二人は餡密と葛餅を注文して、食べながら、会話を続けます。
「ウィーンの喫茶も大好きだけど、これから帰国すると、東京のカフェと喫茶店は一番懐かしくなると思う。」
「言ってたね。分かる、分かる。」と私がうなづく。
ゆっくりと、本を読んで、ぼーっとしている喫茶店はドイツにはあまりない気がします。がやがやしていたり、「勉強はご遠慮ください」とサインが張られていたり、営業時間が不便だったり、「テラス席ではポットコーヒーのみ注文いただけます。コーヒーいっぱいの注文は承り兼ねます」という変なルールが存在したりしています。そして、東京のカフェの多様性も著しくて、大好き♪オーストリア、特にウィーンは「珈琲!」というイメージはとても強いですが、同じドイツ語圏にしては、オーストリアは住んだことがないので、私にとって異文化圏になります。
やはり、歴史を深く感じる和菓子処がたまらないんですね。
亀戸天神ご参拝の際は是非、船橋屋にもお立ち寄り下さい。
地方にお住まいの方は、船橋屋の柔らかい葛餅をインターネットで注文できますよ。
船橋屋亀戸天神前本店
東京都江東区亀戸3-2-14
TEL 03-3681-2784
営業時間 9:00~18:00
お召上がり 9:00~17:00