環境汚染は大変話題にされていますが、それは大半大気、土壌そして水の汚染です。あまり話題にされてはいませんが、光、空の汚染も当然あります。光害を減らすことによって、電気の節約と、二酸化炭素放出量の削減をする事ができるだけではなく、もっと色々なメリットがあります。
星空の観察は人類のもっとも古い文化の一つです。昔には、星空を見上げるだけで人間は時間がわかって、カレンダーを作成しました。そして、天文学なければ、新世界の”発見”等々は不可能だったでしょう。それから、試験再現が不可能な物理的な現象は天文学だけみえますので、天文学は物理学の重要な分野です。
都会は明るすぎて、星空が見えない状態です。私も生きてきた三十数年でたぶん、本当の星空は見ていないと思いますよ。(今年の目標は満天の星空の下に寝る事です!)
都会が明るすぎてるとみて、その照明を消した街はたくさんあります。
エネルギーの8割を地熱が提供しているアイスランドの首都レイキャヴィークは2006年で最初でした。その時は、2006年9月28
日午後10時30分から30分間町全体の照明すべて消されました。有名な天文学者がラジオで夜空を解説しました。オーローラも見えるならどれぐらい素敵でしょう!その時のアイスランドは宇宙から見て、こうでした。→
今は、レイキャヴィークのアイディアは今世界に広まっています:2007年にアース・アワーがはじまり、毎年3月末に行われるようになりました。主催者のWWFが家庭及びビジネスに要らない照明を少なくとも一時間消すように呼びかけています。今年は3月23日、つまり今日開催されます。時間はそれぞれ(現地の)8時半から9時半までであるけれども、日本ではあまりそういう話は聞いていないんですね。(私だけですか?)
しかし、アース・アワーにとどまっていません。
「都会だから、光害を受け入れなければならない、仕方ない」と論じる人もいるでしょうけど、対象外の物体や面積を照らし出す照明器具はあり過ぎて、一年に大変多くの電気ふぁ無駄に使われていると思っています。チェコ共和国ではなんと全国の光害防止法でさえあるらしいです。(チェコ語はあまりわかりませんので、今チェコ蔵に問い合わせています。)
テヘランから400km南にあるSa’adat-shahr村では定期的に電気が消されて「スターパーティー」が開催されます。
そして、あのLa Ville-Lumière、光の都、パリまで!パリ市だけではなく、フランス全体は光害の問題を真摯に受け止め、法律を変えました。7月1日以降のパリの夜景は変わります。店、商業施設、公共施設の内外部照明を午前1時から7時まで消すと決めました。目的はもちろんエネルギー節約です。
商工会と観光関連施設は反対していましたけど、真夜中にそんな買い物をしている人はいないと思いませんか。パリの観光的な魅力がなくなると懸念していますけど、観光客がいくら時差ぼけであっても朝の1~7時の間に観光やウィンドーショッピングをしているとは(ミュジーアムナイトとは別として)とても考えられません。クリスマスシーズンだけは例外として照明を点けても良いらしい。
現時点では既に、304箇所の観光名所、教会、橋等の照明は夜間に消されて、なんの影響もありません。この対
策では仏エネルギー庁によると、年間2TWhの電力も節約、25万トンの二酸化炭素の削減ができ、75万世帯の電力を節約する事ができます。かなりの量。
もちろん、色々な反対の声も上がっています。まず、暗闇でストレスが発生するといわれています。
しかし、その根拠がないのは、北欧の自殺率をみて、わかります。確かにフィンランドは自殺率は世界で一番高い国の一つですけど、詳しく見ると、暗闇が長く続く冬(12-4月)よりも暗闇が少ない夏(5-7月)の方は自殺率が高いです。24時間もの暗闇よりも白夜は人間に影響を与えていると思われています。
人間を含む昼行性の生き物には暗闇がなければ、睡眠、リラックス、再生する事ができません。逆に、夜行性の生き物は暗闇の中で餌を探し、または(蛍等が)暗闇の中で繁殖しています。植物には概日リズムがなければ、 光合成が出来ません。つまり、人間、動物、植物にとっては暗闇という休憩時間は重要です。
そして、照明がなければ、安全ではないとさらに懸念されますが、照明量が上がると犯罪が率が下がるという関係はどんなに調査してもありません。震災後の犯罪率は上がっていないんですよね。逆に実験をして、街灯を消したところで、犯罪率が下がったという結果でさえ出ています。
泥棒も照明がなくて、歩きにくいからでしょうね。何を狙っていいのか、暗闇の中でもわからないんですし。具体的な例を挙げますと、ATMが明るくて、ユーザー側は安全と感じていても、ATMユーザーの行動がわかりやすく、狙いやすくもあります。
英語でこの現象はdisability glareと呼ばれています。中高年の運転手には良くわかるかと思いますが、光源が眩し過ぎて、見えなくなるということですね。光の後ろに突然人が現れて轢かれるということはよくありませんか。
逆に私が泥棒だったら、こういう眩しい光の後ろに隠れますね。(今度眩しい街灯を見るときに、手で遮光して光源の向こうが見える事がわかります。)
特に、光害を無くす事は全ての屋外照明を消す事と言っていません。多くの照明は下向きに変えるだけで充分に対策がとられます。
光害対策街灯で街が暗くなると思う方いるようですが、そうではありません。例えば、この絵をみては、 照明の角度によって光害の具合も変わるとよくわかりますね。
光害対策がされている照明は下の三つの例です。つまり、照明は無駄に使っていません。照り出されるべき面積はすべて照明されています。一番右下は設置場所によって暗くなる事もあるでしょうし、一番左下は人の家の窓にまで眩しい光を送るでしょうからさほど相応しくないかもしれませんが、下真ん中が丁度いいのでは?
今年のアースアワーは今日、3月23日に開催されます。私はその日、友達とアートナイトで遊んでいますけど、どれぐらい実施されるでしょうかな、みなとみらい?東京タワーをみあげよう。消されているらしいですよ。