藤沢市の「外国の方のための多言語防災ガイド」は非常に良くできてはいます。英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、そしてベトナム語で市内で最も多く話されている言語はほぼ網羅されているでしょう。そして、ここで面白い事は日本語も書いてある事です。
そうですよ。面白いです。
私はチェコ人やスロバキア人の友達はいますが、お互いの母国語が話せないため、日本語で話しています。上記のリストにはドイツ語もチェコ語もスロバキア語も含まれていませんが、英語より日本語が上手という可能性もずいぶんあります。特に驚く事はありません。(周りにいる日本人はだいたい耳にダンボ、不思議がっていますけど)
あんな立派なガイドがあっても、英語(又は中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語そしてベトナム語が出来ない人はどうすればいいでしょう?ここに書いてある日本語は、親戚、友達用ではなく、日本語はある程度できたら、それは日本語を読む人のための文章ですよ。なんで、ここには振り仮名の振った文章も入っています。
ただ、外国籍の日本語が出来ても、私みたい読み書きが出来ないかもしれません。
今度少しでも日本語が話せる人がデパートで買い物をしていることを立ち聞きする機会があったら、是非してみてください。デパートのきれいなマニュアル警護は、日本語初心者にはわかりません。
そして、はじめて会う漢語を聞いて、私みたいに頭の中にその組み合わせを想像し、単語がわかるわけではありません。
例えば、こんなアナウンスがあります。
今朝7時21分頃、東北地方を中心に広い範囲で強い地震がありました。
大きな地震のあとには必ず余震があります。
引き続き厳重に注意してください。
皆さんおちついて行動をお願いします。
ガス臭いようなところがありましたらマッチを擦ったり、照明のスイッチをつけたり、消したり、ということはしないでください。
弘前市は断水や停電となり、市民の生活は麻痺しています。
中心部の雑居ビルが完全に崩れ落ちています。
まあ、有り触れたアナウンスですよ。誰でも想像できまます。東北、余震、引き続き、弘前、雑居、崩れ落ちるは日常生活であまり使用されていない単語ですから、漢字圏ではない日本語学習初心者「日本語能力試験レベル3-4級」にはこの文章はこうみえます。
今朝7時21分頃、■■■■を■■に広い■■で強い地震がありました。
大きな地震のあとには必ず■■があります。
■■■■■■に■■してください。
皆さんおちついて■■をお願いします。
ガス■■ようなところがありましたらマッチを■ったり、■■のスイッチをつけたり、消したり、ということはしないでください。
■■■は■■や■■となり、■■の生活は■■しています。
■■■の■■ビルが■■に■■■■ています。
と、まあ、意外と全く通じないと言っていいでしょう。地震という単語がわかっていれば、地震があったとはわかる(わからなくても、それ以前に感じた。)
この短い文章を日本語学習用のサイト「リーディング チュウ太」で分析してもらいますと、ほとんどの単語は初心者にわからないことが判明します。(サイトでは「普通」と判定されていますけど、■だけをみますと、ほとんどわからないとわかりますよね。)
ここの「級」とは日本語能力試験の級であって、四級は初心者、一級は新聞が読める程度です。細かく見てみると、四級の単語が多い事は、平仮名が多いです。四級と判定された『単語』はと「は、など、が、や、の」が多いんですから。
日本語初心者は失礼があってはいけないので、まず「です・ます体」で日本語を覚えていますけど、辞書型で載せてもすぐにわからないかもしれません。バランスは非常に難しいですが、例えば、
「恐れ入りますが、避難所は土足で上がらせる事は遠慮して頂きたいですが・・・」
という事はおそらく全く理解していない初心者(いや、中級者でも)は大勢いるだろうけど、
「おい!ノーシューズだよ!」
は敢えて失礼ですね。例え、たまたま地震で動揺していて、でも実は日本語が流暢している人はそう言われたら、寂しくなりますね。
「すみません。ここは靴がだめです。」
というのがちょうど良いのではないでしょうか。日本語の資料を作っていただく事はとても嬉しいですけど、わからないと、全く使えませんね。
一般的には、
※ 漢語を避ける(けど漢字はしっかり書きます!)
※ 外来語を避ける(和製英語と省略が多いため)
※ 擬態語は避けます。
※ 動詞の名詞かもやめましょう
※ 「恐れがある」という表現より「あるかもしれません」の方がわかりやすい
※ 二重否定はどんな言葉でもわかりにくくないことはない
※ 可能表現「られる、れる」は中級レベルであって、難しい。「~が出来る」を使いましょう
そうすると、分かち書きも入れて、上の文章はこう変わります。
今日 朝 7時21分、 東北地方で 大きい 地震が ありました。
大きい 地震の あとには 余震<あとからくる地震>が あります。
気をつけて ください。
火を 使わないで ください。
火事に 気をつけて ください。
弘前市は 水と 電気が 使えません。
地震で 倒れた 建物に 気をつけて ください。
同じ内容の事が十分に通じています♪
やさしい日本語を使う皆さんは、本当に優しい人ですね。(←弘前大学の「やさしい日本語マニュアル」から)
もっとやさしい日本語について知りたい方は弘前大学をご覧ください。日本語の勉強をしている友達にも是非使ってください!