ツアー客、アイルランド人のフィヨンさんの紹介まで
まあ、飯田橋駅に来て、次、フィヨンさんをどこに連れて行くか、お分かりですよね、きっと。
そうそう、ピンポン!東京大神宮です。実は、フィヨンさんは東京のせわしさになれず、「落ち着くところを案内してください!」と頼まれましたが、この東京大神宮は一番賑やかなところでしょう。
鳥居の前には、手水舎で身も心も清めます。水でぬれた手はどうしようかと、ハンドバックからハンカチを出す私とAさんですけど、手水舎の隣に、ティッシュを配る方が立っています。環境保護大国ドイツ人としては、「一日でどれぐらいゴミを作るのかな」と思いながら、「何という素晴らしいサービス!」と感激しました。
鳥居の舌には既に、お正月でもないのに、本社にお参りする方がずら~と行列に並んでいます・・・ 「並ぶ?」と聞くと、フィヨンさんは頭を静かに横に振ってさっそく本社にお参りせず、境内に入ります。
「ここは縁結びが有名だから、おみくじを引きましょう。」と三人とも引きます。フィヨンさんのおみくじは写真に写っています。
「二人の愛と希望を乗せた船出の時です。今は朝日が昇るような運勢ですが、周囲のことを考えずに行動しすぎると、困難に出合うことがあります。方針をしっかりと立てて、強く信じ合って世の荒波を超えましょう。」
と。日本語で読むと、「ふ~む、ふ~む。」と頷くけれども、英語に翻訳すると、とても叙情的な文章になりますね。
少し歩いたところには、英語のおみくじもあったことが判明!
嗚呼、残念!次回にはぜひ、案内する人に英語おみくじをひかせます。
ちなみに、どこにその根拠があるのかわからないけれども、ネットで検索すると、東京大神宮には、1日に約3000人も訪れると書いてありました。それは、たぶん、土日の数だけでしょうけれども、それでもすごいですね。その中には、たとえ、四分の一にお守りを買って、四分の三はおみくじを引くと、すごい数ですよね。750人x600円のお守り、それに2250人x200円…すると、一日の売り上げは九十万円ですよ。結婚式を挙げる人もきっと多いでしょうから、それも…まあ、商売繁盛にも効けそうなお寺ですね。
さすがに芸能人も神前式をあげる神社です。
実は、明治時代までの挙式はそれぞれ家庭で行われたけれども、明治33年、大正天皇のご成婚は宮中の歴史上初めて皇居内の賢所(神前)で行われたそうです。それを記念して、東京大神宮も神前結婚式を創始したそうです。神社の雰囲気は大変受け、人気を呼びましだ。
ホームページに「神前結婚式創始の伝統と誇りを受け継いだ東京大神宮の荘厳な結婚式は、ご参列の方々の心にも生涯深く刻まれ、感激ひとしおのものがあると、ご好評を頂いております。」と書いてあるんですけど、たぶんそうだろうね。この写真を見て下さい。今までは10組ぐらいの結婚式に出席させて頂いたのだけれども、これもかなり素敵ですね。
夏目漱石の「行人」(大正元年)にもその様子が描かれています。(いや、漱石はこのブログを書くと、あらゆるところに出会いますね。)大正元年では誰でも挙げられるような式ではなかったでしょうか。
反橋を降りて奥へ這入(はい)ろうという入口の所で、花嫁は一面に張り詰められた鏡の前へ坐(すわ)って、黒塗の盥(たらい)の中で手を洗っていた。自分は後(うしろ)から背延(せいのび)をして、お貞さんの姿を見た時、なるほどこれで列が後(おく)れるんだなと思うと同時に吹き出したくなった。せっかく丹精して塗り立てた彼女の手も、この神聖な一杓(ひとしゃく)の水で、無残(むざん)に元のごとく赤黒くされてしまったのである。
神殿の左右には別室があった。その右の方へ兄が佐野さんを伴れて這入った。その左の方へ嫂(あによめ)がお貞さんを伴れて這入った。それが左右から出て来て着座するのを見ると、兄夫婦は真面目な顔をして向い合せに坐っていた。花嫁花婿も無論の事、謹(つつし)んだ姿で相対していた。
式壇を正面に、後(うしろ)の方にずらりと並んだ父だの母だの自分達は、この二様の意味をもった夫婦と、絵の具で塗り潰(つぶ)した綺麗(きれい)な太鼓と、何物を中に蔵(かく)しているか分らない、御簾(みす)を静粛に眺めた。
行人、三十六章より
本社には結婚式もちらりとみられ、フィヨンさんに
「ねえ、みて、ちょうど結婚式を挙げているところですよ。花嫁は白い服を着ていて、その大きな帽子見たいものが見える?それは角隠しと言うのよ。角は怒りを象徴するもので、その帽子をかぶることで、角が隠され、女性はしとやかであって、旦那さんに従う妻になることを表していますよ。」
(Look there in the middle, there's a wedding ceremony going on, right now. The white kimono, that's the bride and that hat-kind-of-thing she's wearing is called "tsuno-kakushi", which literally translates as "hiding horns" - the horns symbolise anger, so by putting on this special hat, the bride shows her resolve to become an obedient wive.)
と説明すると、日本人のAさんが驚いて、「ええ?そう?知らなかった。」と突っ込みます。意外と知られていないもんですかね?
フィヨンさんはその説明に笑って、「女って従順なんですか。そんなは初耳です。そんな女に逢ってみたい!」と答えます。
東京大神宮はとても商売上手だとあらためて感心しました。神楽坂に美味しいものを食べる際は是非ご参拝して下さい。ただ、土日は大変に大変ににぎやかです。
参拝客の7割は女性だと気がしました。残りの三割は彼女や奥様に連れられてきた男子なので・・・恋活・婚活を目的とするナンパに最適なんですかね、日本の男の皆様!
東京大神宮
東京都千代田区富士見2丁目4−1
Tel 03-3262-3566
追伸: 「行人」の英訳、The Wayfarerもありますけれども、持っていませんので、引用も出来ません。気になる方はアマゾンでご購入下さい。
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