募金活動ではないけれども、まあ、ドイツ人の心境を語っていますので、どうぞご一読お願いいたします。
昨日はラヂヲのインタビューをされました。ラヂヲ局から離れて、タクシーに乗って、また町の中心に向かいます。
同じ車に乗っているのは、一緒に募金活動をしているイグチさんと、もう一人の日本人です。日本人同士二人で当然日本語で話して、私も日本語が混じりますが、タクシー運転手のおばさんの質問で会話が途切れます。
「あの~、これって日本語ですか。」
と私に向かって、聞きます。
イグチさんもDさんも笑って、ドイツ語で
「そうですよ。」
と答えますと、
「あら、ドイツ語ぺらぺらじゃないですか。通訳を通して話すのかと思っていたら!よかったわ!」
とドイツ語が通じると解ると、ここでも質問が耐えられません。
「ドイツに避難しては、いつからいるんですか。」
「ツナミを経験してどうだったんですか。」
「道路は大変ですね。どこにも動けないんですね。」
「物資はちゃんと届くんですか。」
「ここにはどのように来たのですか、船ですか。飛行機ですか。」
「東京は全滅したみたいで、本当にひどいですね。もう住めないでしょう?」
「ずっとドイツにいるでしょう?」
「放射能は怖いですよね。」
しかし、船で来たのかという質問、ドイツに避難しているのかという質問、それから東京が全滅したという話って・・・
おそらく、ドイツでは日本のこと詳しくない人は大勢いるでしょう。世界地図で島国の日本はわかっていても、仙台の場所はもちろん、東京と大阪の場所は地図で指差せない人は大半でしょう。日本人の多くは、世界地図でドイツのことがわかっても、ドイツ地図ベルリンがわからないでしょうと同じです、きっと。
運転手のおばさんがテレビでむごい映像を見たのは確かです。
しかし、「東北では・・・」といわれても当然ぴんと来ないから、「トーホク」という地名が出てすぐ後に東京の話も映像が出てきますから、東京が全滅したと思っていること、まあ、おかしくはないと思います。
おそらく、12-16日はドイツ報道陣がすべて東京に滞在していたからということもあるでしょう。ドイツ報道陣で東北に行ったのは、たった一人だそうですから、当然、東京から真っ当な取材はできる訳はありません。
本屋さんで日本のガイドブックが売り切れということも、おそらく「日本へ旅したい!」ということではなく、突然日本についての記事を書かされる田舎者の記者が買ったでしょうかと思います。そのガイドブックにもステレオタイプの日本人のことが書いてあって、ただそれを繰り返すことになっています。
日本の事はドイツではあまり知られていないことが多く、どれぐらいの数の空港が日本にあるのかわからないのも当然です。日本の面積はドイツとほぼ同じだとか、わからないでしょう。
仙台空港が流されている映像をみて、それが日本のたった一つの国際空港だと思ったから、「船で来たんですか。」と聞かれたかもしれません。
一つ一つの質問に丁寧に答えますと、おばさんの誤解も少しずつ解けます。
三人の日本語を聞いても、
「お話中で申し訳ないけど、もう一度、質問していいですか。せっかく日本人のお客様がいらっしゃって・・・」
タクシー運転手にも質問攻撃を受け、なんだか、嬉しかったです。
ドイツ鉄道のおばさん、ICEの隣の席の70代のおばあさん、5歳の男の子、大学の先生、学校の生徒たち、ドイツ人一人一人が東日本大震災に興味を持ってくれています。
しかし、新聞で読んだのは
「ハイチの地震には十日後に8600万ユーロ、パキスタンでは2400万ユーロの義援金が集められていたけど、日本では本震十日後にたった1千万ユーロしかありません。
と書いてありました。日本は産業国だからということもあるでしょうけれども、私たちはドイツで一人一人と接して、1ユーロも多くの義援金になったのであれば嬉しい!
友達のご両親に送るエールは後にした方が仕事です。
追伸: 私が敬愛する多和田葉子先生も空港で同じような会話に巻き込まれたようです。大変興味深い記事(ドイツ語)はここで読めます。
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