普通のツアー案内のほかに、すでに畳化シリーズと、日本人との出会いシリーズを書いているんですけれども、今日からは『日本のあいうえお』というシリーズも書くことに決めした。ひらがなのすべての文字に一つの「日本と言えば…」とあるものや概念について書きたいと思っています。「日本のあは挨拶」、「日本のいは居眠り」、「日本のうはうるさい」に続いて、「日本のえは英語のえ」です。様々な提案はございましたけれども、悩んだ挙句、「英語」にしました。
昔の話ですけれども、私が卒業した高校はヨーロッパの様々な国の姉妹校の学生を一時的に受け入れ、特別な「外国語としてのドイツ語」というクラスがありました。
スペイン人、オランダ語圏、フランス語圏、ポーランド人やロシア人等の留学生がいました。当然その中では母国語それぞれ、それからドイツ語だけではなく、フランス語、英語やスペイン語が出来た人もたくさんいました。私の実家には半年、チャーミングはフランス人の女子高生がホームステーをして、ドイツ語の勉強をしました。(彼女はちなみに、4年前にドイツ人と結婚して、昨年に独仏ハーフのママになりました。)
そのクラスの生徒は当然、皆独逸語で話しました。例えば、フランス人がスペイン語が話せても、スペイン人もフランス人ががんばってドイツ語で話しました。相手は自分の母国語が話せるだからといって、すぐにその言語にスイッチした事はいっさいありませんでした。私もフランスに留学した時に、オーストラリア人の友達のマギーちゃんとは英語ではなく、フランス語で話しました。
多言語生活が当然である国境の近くに育てられていた私は、日本の田舎では「ハロー」られて、大阪のレストランで英語のメニューを出され、なぜ私の母国語が英語だと思われるのがとても寂しかったです。
実際、はじめて日本に来た時に、私が乗っていた車が小さな村の交差点で止まると、小さい女の子が車の助手席に乗っている私を発見して、
「ああ!お母さん、見て!見て!英語の人!」
と叫び出しました。
読者の皆さんはドイツの田舎町を車で通って、5歳の子供に、
「お母さん、見て、中国だ!」
と指差されたら、どういった気持ちでいらっしゃいますか。
おそらく、どんな人であって、自分の国にプライドを持っているでしょうから、隣の国の人と思われていることは寂しいでしょう。(カナダ人はアメリカ人と呼ばれるのは嫌がれるし、隣国ではなくて、オーストリア人はオーストラリア人と呼ばれるのもイヤでしょう。)
今は英語のメニューはパンフレットが渡される時に、その場でずるいと分かりながら、「ドイツ語のをいただけますか」と聞きます。何年間それを続けた所で、はじめて鎌倉駅前の観光案内所で「ありますよ。」と渡された時、本当に嬉しかったです。(残念ながら、オンラインには英仏西中韓語しかありませんので、リンクできません。)
しかし、逆に、ドイツでは(日本人の)友達はこういった経験をしています。
田舎の郵便局に並んで、自分の番になった。
「はあい、なんでしょうか。」と聞かれ、
片言のドイツ語で、
「切手ほしい。日本へ、この手紙」
と頑張って説明しながら、手紙を差し出して、答えました。
そうすると、ドイツ人のおばさんがムッと、
「切手を買う前は、まずドイツ語の勉強をしなさい!」
と叱ったのです。ひどいでしょうけど、ドイツでよくある話だそうですよ。
そこまでひどくいうことはないと思いますが、多様文化が共生すると、まず言葉が大事だと思いますので、このグローバル時代では日本人も英語を話したがるのではなく、国内では日本語を主張した方が良いと思います。(せっかく日本語という美しい言葉があるのに、もったいないと思いませんか。)
当然、私が毎日日本語を話しています。日本人が相手のは多いですが、共通言語は日本語しかないというスロバキア人、チェコ人の友達もいます。その友達と喫茶店で座っておしゃべりをしますと、まわりの人は耳ダンボにします。
「おお!ちょっと待った!日本語で話している?なんで?英語できないの?」
といぶかしげに見つめられることがあります。たまには「なぜ日本語で話していますか。」と聞かれる事もあります。その時は、「私たちは、日本語が共通言語ですからね。」と説明します。
よく
「ウェアー・アー・ユー・フロム?」
と英語で声かけられますが、前に書いた通り、いくら話せても、母国語ではないんですから、少しさみしいです。ツィッターでも悪いと思いながら、英語のコメントはドイツで答えたりすることはあります。(英語も書きますけどね…)
はいはい、
「日本人は英語(もしく外国語一般)が下手だから、勉強したがるんだよ。だから、英語を話したがりますよ。」
と皆さんの声が聞こえます。
もちろん、この時代には、英語は不可欠です。
先日、友達のおじいさんに、
「もちろん、国際化の時代では確かに英語は必要です。じいじが話せても、大学生の孫が話せないのはどういうこと?」
と言われました。正直、教える側(中高の教員)も話せないと、教わる方(中学生・高校生)も話せるようになれないと思います。今は中学校での英語の授業では日本語は話してはいけないらしいですが、先生方も大変でそうね。教師になるぐらいでは留学しないといけないと思います。
ドイツではそうではないらしいですけれども、イギリスの大学では(ラテン語、ギリシャ語以外の)外国語を専攻される学生は一年留学しないといけません。フランス語、デンマーク語と二ヶ国語を専攻していた友達は半年リオン、半年コーペンハーゲンに留学していました。当然、日本語を専攻する学生は全員日本で留学しないといけません。
「ヨーロッパだから留学はとても安いでしょう」
と思われがちですが、私もイギリスに留学した時に、年間に8000ポンド(当時125万円)の学費に月々25万円の 生活費でうめきました。アルバイトをしながら、家賃、生活費を稼ぎました。二年はアルバイトと勉強一筋でした。
「日本は島国だから遠くて、なかなか出来ない」
という声も聞こえますが、今の時代は6万円の航空券もありますので、東京・博多の往復と同じぐらいの値段になりますよね。
『日本の「え」は英語の「え」』と呼んで、皆さんは
「日本人の英語はひどいでしょう?」
と期待していたかもしれません。この質問はよく、(自虐的に?)聞かれますが、第一、私はネイティブではないのでそれを判断する立場にないと思います。しかし、もしどうしても判断しようといわれると、「ひどくありませんよ。」と答えます。
ドイツの田舎に行ったって、だあああれも英語が話せませんよ。おそらく、話せても、話さない、話してくれないかもしれません。親の友達だって、英語で本は読んでも、英会話拒否症です。
上に地図でご覧の通り、英語はかなり通じない国が多いです。EU加盟国民の38%は英語で会話ができると自称していますが、おそらく自信過剰に陥る方は多いと思います。
日本はどんな田舎に行っても人は辞書を引きんがら、単語一言ずつ書いて、手振り身振りでコミュニケーションをとる方ばかりです。とても素晴らしいと思いませんか。
さすがに、日本人。
追伸: 日本のあいうえおで読みたいテーマがございましたら、是非、コメント、またはツィッターで@808towns教えて下さい。ただし、「お」以降の提案に限ります。
クララ様
お邪魔します。
> 「お母さん、見て、中国だ!」
と指差されたら、どういった気持ちでいらっしゃいますか。
イギリスでは、日本が元敵国ということで、日本人であるより、中国人である方が、まだ暴力を受けなくて済むこともあります。下手に日本人と分かると嫌な目に遭わされることもあります。
投稿情報: luckyme67 | 2011/03/09 23:41
いつも楽しませていただいています。
あいうえおリクエストです。
日本の「か」は看板の「か」
どうでしょ?無理でしたらパスしちゃってください。
投稿情報: m_shike | 2011/03/10 12:12