ライプチヒで乗り換え、各駅停車でのどかな田舎町のグリマ村に向かいました。友達に紹介された村議会議員の方にお会いするためです。駅に奥様とお嬢様が二人で迎えにきてくださいました。車で市庁舎に向かいながら、車窓から見える街を紹介してもらいます。
「あそこ、あそこがムルデ川ですよ。大きな川ではないけど、何年だったけ、ねえ、ユッタちゃん、あなたが生まれたのは、・・・2002年だっけ?」
「2002年」
「そうだね。2002年に、9メートルもの洪水に遭われたんですよ。建物のここをみてください」
と二階の、小さなしるしを指差します。(上の写真で、当時の様子が窺えます。)
「津波のむごさはわかっていますといいたくはないけれども、自然が暴威というものはよく解っています。是非とも力になりたい。」
と言って、旦那様が議員を務めている村議会に通されます。
長いテーブルの誕生日席に座っている村長の隣に座らされます。心配そうな30人の顔の前に、非常時持出袋を出し、一品ずつ説明してから、村長が率直
「どこに寄付すればいいんですか。お金はありますけど、どこか、特定のところで、役に立てたいので、クレフトさんとイグチさんが指定する組織に寄付します。」
とても小さな町ではあるけれども、力になりたいという気持ちはとても強いです。
一緒に募金活動で回っているイグチさんのコメント:
「日本から遠く離れたドイツのグリマの村議会会議に出席するなんて夢にも思っていませんでした。会議中に日本に対する寄付の話になったときの出席者の方々の同情するような視線が忘れられません。自然災害にあった街だからこそ、村をあげて日本の助けになりたいと思っている気持ちは本当に有難いです。日本も未曾有の大災害にあったからこそ、弱者の気持ちがわかる、協力できる存在に成長できるのだという強い気持ちになりました。」
市役所を離れて、ヴォン・ベーロの奥様に自宅でお茶しないかと誘われました。自宅に着くと、お城!ヴォン・ベーロ氏は昔から、グリマの貴族であって、社会主義時代に追い出され、お城も半分に壊されたけど、ドイツが統一され、戻ってこられたとのことです。とてもきれいな風景を見ながら、お城の廃墟を案内されます。よく見ると、お庭に森鷗外の銅像が!詳しい話を聞きますと、森鷗外がドイツ滞在中の1885年に、このお城に二晩泊まった事があります。その風景も「文づかい」という短編に描かれているそうです。(さっそく青空文庫で読もう!)
森鷗外という縁があって、ヴォン・ベーロ家は日本に旅したこともあり、日本に強い親近感を持っています。
「私はね、若い時に空手をやったんですよ。とても、日本の文化に惹かれました。それから、学生時代に、ピアニストのヴィルヘルム・ケンプ先生の手伝いをして、先生は大変な親日家でして、お庭も日本の庭園をモデルにしましたよ。ここに引っ越して、また日本との縁が・・・ 東京、京都、仙台まで色々旅してきました。自分が以前に旅をしました仙台の写真をみて泣きました。こちらでも洪水を経験したことがありますので、是非とも(東日本大震災の)被災者の力になりたいです。」
と奥様は語ります。
「不思議な縁ですよね。この震災がきっかけで、姉妹都市が生まれればいいですね。」
とそこまで考えています。確かに、災害に遭った者同士で生まれる縁はとても強いと思いますけれども、日本側は今そういうどころじゃないでしょう。
奥様が執筆された本をいただき(サイン入り!)、またベルリンへの電車に乗りました。19世紀のレシピに、お城の歴史の載っているとても楽しい本です。奥様の本に掲載されているレシピは大変興味深いなので、ここで紹介できたらと思います♪
市が用意している金額と、それから、さらに4月30日に村の教会でのチャリティーコンサートも開催されました。
3月当時は
「クレフトさんがすすめるのであれば、そこにします。」
と言われましたけれども、
「私たちは、ある 組織の代表者ではありません。例えばドイツ赤十字に寄付されたいのならそれは大歓迎です。ワールドビジョン、シェルターボックスやセ-フ・ザ・チルドレンも大歓迎です。それから私が個人的に信頼している組織はbetterplaceです。10年以上の付き合いのある友達が働いています。」
と言って、グリマ村を去ったのですけれども、その後もよくやり取りをして、色々提案しました。「自分のお金はどこで使われているのか知りたい」という願いはとてもつよく、村議会に運よく、ユーデックさんのプロジェクトを紹介することが出来ました。とても気に入って頂き、グリマ村、とヴォン・ベーロさんがチャリティーコンサート等で集めていたお金は全額は本日、5月5日の為替レートで、134万1811円になっています。つまり、グリマ村民一人当たりで71円。ドイツ国民一人あたりの三倍。
それはすべて、先日紹介しましたユーデックさんの自働車の支援プロジェクトに振り込まれる予定です。
ユーデックさんとグリマの人々がつなげて、本当にうれしいです。
もう少し、ユーデックさんのプロジェクトはドイツで知られたらいいですね。
ここに1885年に二泊だけしていた森鷗外が、ここに、こんな深い日本とのつながりが生まれると思ってもいなかったでしょうね。
レシピぜひ紹介してください!ドイツ料理に飢えています。一層のことその本を買おうかと思いますが。
投稿情報: Tomojiro | 2011/03/28 20:13
良いお話を紹介してくださってありがとうございます。料理本参考にさせていただきます。
投稿情報: asariya38 | 2011/05/05 23:31
グリマのみなさん大変有難う御座います。
ユーデックさんの行動には頭が下がる思いですどうもダンケシェーン。
投稿情報: ファイト | 2011/05/06 22:26