25日に、EUが6月1日から原子力発電所の検査をより厳格に行うと発表した。
EU全土4,324,782 km2には143基の原子力発電所もある。(その他、非EUのスイス等にも原発がある)一昨日発表された概要説明はかなり面白い内容なんで、訳して、まとめました。
さて、「原子力ストレステスト」とは?原子力がテーマの受験で受けるストレスではないよ~!
「原子力ストレステスト」とは欧州の原子力発電所の再検査なんです。
検査?ええ?EUの原発が災害に耐えられるというのは始めて検査の対象となっているわけではないでしょう?
前から対象となっていますよ。EUの原子力発電所は運転開始される前、慎重な検査を受けます。合格しないと、運転させることは出来ません。ただ、今度、色々な項目がつい生かされた。
※ 耐震
例えば、原子力発電所は地震の起こる場所に建てられる際、過去の地震を調べます。過去にM6の地震があった際は、同郷土の地震がまた起こると想定さ れます。こういう地域に立っている原発は同強度の地震が起こる際に、運転継続は可能、それとも瞬時に停止できるように設計されないといけません。洪水等の天災は同様検査の対象となります。
東北でも、想定した地震よりも強い地震が起こった。そのため、今回のストレステストはより幅広い安全性マージンが対象です。マグニチュード6以上の地震が起こったことのある地域にある原発にはそれ以上の地震への耐性があると実証しないといけない。洪水等の天災もまた同様の扱いです。
※ 電源供給
その上現に関係なく、原子力発電所に電源供給が遮断される際に、電池、ディーゼル発電機等の充分なバックアップ電源があると実証しないといけません。それから、非常用の第一発電機が故障し、第二も故障する際に何が起こるのかといった連鎖反応を説明しないといけません。
複合的な要素で原発の冷却機能が失われる事態にしっかり対応されているかどうかの検査ですね。
つまり、諸国の既存安全基準に、安全検査項目が追加されます。原発の運転許可を与える際に使用されている安全マージンに、予期されない事象が含まれているいるかどうかの評価が、今度の検査の目的です。かなり泉温用語が多いけれども、設計マージン、多様性、冗長性、構造保護、安全関連システム、構造及び部品の物理的分離、それから多層防護(defence in depth)概念実施の効率性
メルケル首相がいうと、似たような表現で「思いもよらぬことは実際に起こり得る。」という、日本で起こったことを教訓にして、ヨーロッパで同じような事故が起こらない事を回避するは目的です。
それから、欧州理事会によると人災(man made disasters)は、『包括的』(comprehensive)なリスク及び安全評価は行われるべき(should)。人災とは、テロのことでしょうけれども、あまりにもあいまいで「するのはすすめますけれども、しなければ、しかたない。」という事ですね。テロに対して、フランスと英国の激しい反対に直面して、項目が除外された。飛行機の墜落は検討することで、まあ、あってもなくても・・・という感じです。フランスとイギリスが反対したのは「国の安全保障」なんだけど・・・被ばくも国の、国民の安全に含まれると思うけどね・・・人災とは、テロ攻撃も解釈できる。おそらく、テロの項目を加えると、原発大国が運転を停止しないといけないケースが多すぎると恐れていたでしょうね。
さて、気になる、その基準を作成!
その基準は、基準は欧州委員会と欧州原子力安全規制機関グループ(ENSREG)が共同に定義·承認される。欧州委員会と欧州原子力安全規制機関グループ(ENSREG)が27ヶ国の加盟国のそれぞれの原子力当局の組織である。それから、エッティンガー欧州委員(閣僚、エネルギー担当、ドイツ人!))は委員会の代表として決定権がある。欧州委員会、担当大臣等の決定は必要ではないと。
ストレステスト自体はWENRAが提案したけれども、WENRAとは西欧原子力規制者連合の略、原子力発電所を所有するEU加盟国(+スイス、ロシア、ウクライナ等)の原子力規制機関からなる組織です。欧州委員会と欧州原子力安全規制機関グループは『得られる専門家知識、特に西欧原子力規制者連合を考慮すべき』
それから、ストレステストの対象・・・まさか、全143基?
さようでございます。EU全土内の原子力発電所はストレステストの対象となります。検査は全国が同意された共通基準及び方法によって行われます。
えええ?それって、どうやって行われる?EUの専門家がすべて、143ヶ所の原子力発電所を一つ一つまわるわけ?
そんなことはありません。もっと効率的なアプローチです。つまり、まず
1) 各原発の運営会社は調査アンケートを記入、その関連書類、調査と設計図等の実証書類を提供
2) 国の原子力当局は運営会社が提供した資料に信憑性があるかどうかを確認
3) その報告書の一貫性がピア(EU諸国のメンバーでなりたっているグループ)によって評価される。各チームには欧州委員会のメンバー一人と、27カ国の当局から担当者6人で成り立っている。それから、どの原子力発電所が現場で試験の対象となるのかは、各ピア·レビュー·チームが決める。(ピア·レビューという言葉はわかりますか?えっと、簡単に言うと、「同じ分野の学者による審査・検査」、「専門家が互いに調査内容を検討したり研究内容を批評しあうこと」です。)
だけど、今まで検査を行っていた諸国当局がまた検査をやるのって、信憑性がある?
過去に検査の対象となったことと異なる項目が検査の対象である。ストレステストは新しい質問と基準が追加されました。災害及び電源供給のバックアップ電源に関するより高い安全マージンが今回の検査に含まれている。その上、ピア·レビューは検査の信憑性及び説明責任を高める。27ヶ国の当局のうち、14ヶ国は原子力発電所を運営して、13ヶ国はそうでもない。ピア・レビューをする国の中、原子力発電所を運転させてない担当もいる。
で、それは今すぐにやる?
すでにやっている国はある。運営会社は8月15日までその当局に中間報告書を出して、そ10月31日に最終報告書を提出。当局は9月15日までにEUに中間報告、それから年末までは最終報告書を提出する。
2010年12月9日の欧州理事会会議にて、各当局の検査及びピアレビューに基づく中間報告書が発表される。それから、エッティンガー欧州委員が5月25日に発表した方針によると調査は12年4月末に終了、結果を発表すると。
検査で駄目だしとされる原発があったら? 検査はパスしなくても、危ない原発の廃炉をしない国があれば、どうなる?
各国の報告書、ピアレビューを元に、加盟国は評価へのフォローアップを決定を行う。各施設に関する決定は、それぞれ加盟国の責任。要求される機能向上は技術、又は経済上に実現不可能であれば、原子炉は停止させ、廃炉されるべき。
欧州委員会は当局の報告書及びピアレビューを公表する。結果は一般に公表されることにうよって、国・当局は廃炉を決めてない、または手を下さないことを説明しないといけない。
EUからは廃炉しろ!と言えない。それは各国の責任になりますが…これからはどうでしょうね・・・基準を満たしていない原発はどれぐらいあるでしょうね?
だけど、スイスとか、EUではないけど、原発がある国はあるでしょうよ。放射は国境と関係なく広がるため、EUではないヨーロッパの国も同じ検査を行うの?
欧州委員会は、原子力発電所を有するEU以外のヨーロッパの国(スイス、ロシア、ウクライナ、アルメニア)にも働きかけている。最初の反応はポジティブであり、ロシアはすでに、国際原子力安全枠組みを改善させるため具体的な案を提出した。スイスも2034年まで原子力撤廃を決めた。
で、報告書は公表されてからはどうなる?
欧州委員会はIAEA及び諸外国に専門知識を提供するように準備してある。安全レビュー及び、国際法律枠組み及び規制能力を開発するようにも準備している。諸外国への金銭支援も提供することは可能。
検査の結果を踏まえて、2012年に委員会は欧州の原子力安全法の改正法案を提出する予定。
既存の原子力安全指令(25/06/2009) ではIAEAが作成した安全規制を法務化してはいるけれども、原子力安全の施行は各国の責任である。
ということぐらいですかね。
「テロへの耐性」は確かに除外されてはいるけれども、それはまた別途で「専門家委員会」が設置されるそうです。「専門委員会」はいったい何をやるのか、分からないんですね・・・EUは委員会は好きですよね…
エッティンガー委員は英語が下手で、前、馬鹿にしたことはあったけれども・・・(こんな英語下手でよくも欧州委員を務めるんだ!と)でも、まあ、「委員会と加盟国当局は包括的かつ野心的な基準に決められた事は高く評価をしている。フクシマを見れば、EUにはもっと厳しい安全基準が必要だと分かった。原子力発電所の安全性と透明性を高めたい」とは立派なことですね。(むしろ、ドイツ人の政治家、母国からの圧力もあったでしょうね。)
エネルギー問題は国境を超える問題で、皆協力し合って解決しないといけない。リソースがあまりない日本も消してエネルギーは地産地消ではないので、海外と協力し合うべきだと思います。
日本は天下りの泥沼もあって、そういうピアレビューはとてもできそうにないですね・・・もともと、日本は海外に信用していないという事もありますから…でも、国内の専門家は信用できない、海外は信用しない・・・とどうなるんですか。
5月18日深夜のNHK-BSにて世界のドキュメンタリー「放射性物質はどこへ」(後編)を放送していて、その中で EUでは放射性破棄物をドラム缶に詰めて船上から海へ投棄してはいけない規則(法)は有りますが…原子力発電所からパイプを使って直接 海の中へ垂れ流すのは合法らしいと放送して居ました
実際に海中への排水を行って居るのは、フランスの西の端に有る放射性破棄物再処理工場のラーグで、そこでは煙突からクリプトン85などの放射線の放出も行っておりフランス国の原子力安全委員会が正式に許可を出していて、海風によりフランス北東部とドイツ南部への循環コースで検出量が増加の一途で有るとグリーンピースが力説して居ました
イギリスとドイツは、フランスより売電して居て余り詳細な検査を行わないし、問題を大きくさせない様にする傾向が有ると別のNHK番組で解説していました。
投稿情報: Tukubacow | 2011/05/28 02:22
海江田経済産業大臣、新たに「ストレステスト」を実施する考えを明らかに http://nhk.jp/N3wX5sPO
EUのストレステストの詳しい内容がクララさんの記事にあります。日本のピアレビューは誰がやってくれるのでしょ。
投稿情報: Raebchen | 2011/07/06 12:51