4月16日の発言では首相が「お盆のころまでには希望者全員に入っていただけるよう全力を挙げる」と仮設住宅入居完了はお盆まで目指しており、4月27日には国土交通省が入居完了は九月末でも必要な戸数がそろわないと・・・
あれから、二週間が経って、おそらく状況は変わっていない。
仮設住宅の必要数は7万2290戸(4月19日時点)と、用地確保は5万2千戸弱(4月25日)。GW前の時点では三万戸が5月末まで完成すると報道されました。神戸では7ヶ月だけかかったと聞いていますけれども、今回は350kmもの長い沿海地域が対象ですね。
私は避難所での生活、想像してみようと思っても、それが現実とかなり離れているイメージになるでしょう… 隣にいびきをかいているおばさん、その少し離れているところで泣いている赤ちゃん、パートナーと子供をなくして泣いている大人、独り言の人。荷物はもらっても置く場所なく、自分で食べ物を選べることも出来ない。とにかく、プライバシーがないとかなり大変と想像していますけれども実際は精神的に大変大きいストレスに違いありません。
当然、用地確保も難しく、それは政府・行政の問題ではないと思います。被災者の故郷の近く、それから、高台にある、かつ山がないところを確保することは… もし、適切な場所がもともとあったとすれば、それはすでには人間が住んでいたと思います。
もう一つの心配は、日本のメーカーだけでは賄えるかどうかということです。72290戸は巨大な数です。今すぐに欲しい物です。そこで、少し前になりますが、「海外ユニット住宅を仮設住宅に転用、輸入者リスト作成-国交省」が報道されました:
同連合会が15-25日まで、輸入事業者から対象製品を受付しリスト化。26日以降、岩手、宮城、福島各県にその情報を提供する。被災3県はこのリストを 検討して、必要に応じて採用する。この海外製住宅ユニットは応急仮設専用の住宅ではないが、プレハブ構造などで建設が簡便な商品という。
しかし、実際に入札の要領「輸入住宅資材を用いた応急仮設住宅の提案に係る事前整理受付要領」をみますと、とても海外のメーカーが入札できるようになっていないと思います。
当然、仮設住宅は日本人が住むことになりますので、日本のマーカーが一番ベストです。例えば、お風呂のサイズや設備はドイツの仮設住宅ではおそらく日本人はとても満足できないと思います。それから、ドイツの電圧は220Vで、東北の110Vと大きく違います。ドイツのメーカーは「電気設備に関する技術基準を定める省令」という日本の省令なんて知らないでしょうね。(ドイツは私の母国であるので、ここで例としてあげました。あまりプレハブがない国だと思っていましたけれども、このエントリーがきっかけで調べてみましたら、結構いますね。驚きました!)
それから、日本人がいないとダメという要求事項もとても大切だと思います。仮設住宅に住む方はすでに大変な目に遭いましたので、非常に安全かつ便利な住宅に住んでほしいです。コミュニケーションの問題でおこる組み立てミスは100%避けないといけません。ここも、日本のメーカーは国内の事情を一番わかっているのは確かです。
しかし、ここでは被災地の皆様方が一日もはやく仮設住宅に引っ越せることは第一優先だと思います。国内メーカーで賄えないと、海外メーカー(特に二階建てはとても良いアイディアだと思います)に手伝ってもらえないといけないことも報道されました。しかし、仮設住宅の整理受付要領を見ますと、とても柔軟に対応していると思いません。
ここでは、福島県の現場に行き来して知り合いに教えてもらって、びっくりしました。海外からのプレハブがほとんど建てられないこと。現地で力になりたい、本国よりも安く東北の方にプレハブを提供しますと言っている海外のメーカーはいいましたが、上記の要領の公募期間が短すぎたと・・・
4月15日に出されたこの要領。つまり、金曜日(ほぼ週末ですね。)それから、10日間の公募(平成23年4月15日(金)から4月25日(月)まで)です。まずは、『提案する住宅を建設する日本国内の建設事業者、共同企業体(団体)とし、共同企業体(団体)の場合は、その構成員に日本国内の建設業者』という要求事項があります。
簡単でいうと応募者は、
海外メーカーの日本法人、
それとも日本法人と海外メーカーの共同作業
が入札の対象になります。
仮設住宅が立てられるのは、日本国の土地であって、日本の法律、日本の省令、日本の規格に従わないといけない事は当然です。
しかし、例えば、すぐに住宅を提供できるはずの海外メーカーがいても、
1) つまり、一週間(土日はおそらく探せないだろう)内に、日本でビジネスパートナーを探して
2) 入札要項の条件に会う仮設住宅を設計して
3) それから応募書類を提出する
ということになります。ビジネスパートナーはどうにか探せても、こんな短時間内に仮設住宅を設計しては無理でしょう。こんな短時間はおそらく日本側のパートナーに任せるものが多すぎて、任せられる会社であれば、とうにその会社は仮設受託を自分で設計して、作っただろう。
それから、提案シートを見ますと、「受注後30日間での建設可能戸数」、「受注後45日間での建設可能戸数」、「受注後60日間での建設可能戸数」。これも無理に近いですね。もちろん一日も早く宿を与えたいということは分かりますが、4月15日に出されたのは非常に遅いと思いませんか。仮設住宅が必要になることは、おそらく3月11日の夜でも一目瞭然だったと思います。ヨーロッパの会社では当然、設計、製造、運搬(!)を60日内はもちろん無理ですけれども、韓国、台湾、中国等、つまり近場で作られる仮設住宅メーカーでも少し難しいなんじゃないかなと気がします。(プレハブ業界のことはよく分かりませんけど・・・)
こういった要領は日本の市場に進出にしていないメーカーだけが参入する、つまりほとんど日本のメーカーが賄うように書かれているようにみえて仕方がありません。せっかく、英語にまで訳していた要領があって、後になって、
「ごめん、公募はしてみたけど、海外メーカーは応募しなかったので、もう少し避難所でいててね。ごめんね。もう少し我慢しててね!」
のようになりますかね、これは。
それから、要領は普通、国土交通省に載っているはずだと私が思っていますか、違いますか?「一般社団法人 すまいづくりまちづくりセンター連合会」のホームページに載っています。なぜでしょうか。国内メーカーで賄えるのであれば、それはそれでいいけれども、海外メーカーの加入も不可欠になっているようと報道されましたため、この要領は国内のプレハブ製造業者に特権を与えるのではなく、ただの間違いだと祈っています。
国内経済の復興にはもちろん国内経済が活発であることはとても大切ですが、何より災害者の方々が一日もはやく避難所生活から解放されることを重視するべきです。避難所の生活は、暗くなって、少し不便になっている東京の私たち、贅沢な一人暮らしをしている私たちに想像できないと思います。被害者の方々に自分だけの場所、自分のプライバシー、未来と希望を与えることが第一優先です。
仮設住宅とは違いますが、ルームドナーhttp://roomdonor.jp/top.htmlという取り組みもなされているようです。その地域に残りたい方々には不向きかと思いますが、心機一転、新しい事や人間関係にも対応出来る方々にはお薦めできるかと。
投稿情報: molinobannin | 2011/05/08 21:51
仮設住宅問題や原発問題は政府のやる気度で違ってくる
3.11直後の首相の行動ではやる気なしが伝わってくる
投稿情報: ファイト | 2011/05/08 22:12
失礼しました。
リンクの貼り方を間違えました。
『東日本大震災被災者受け入れマッチングサイト roomdonor.jp』という取り組みです。
投稿情報: molinobannin | 2011/05/09 09:31
実際には322件もの応募があり、これを検討するほうが大変という
事態になってますけどね。施工・メンテナンス・解体などを責任持って
やれる業者がなければ、モノだけあっても仕方がないし。業者から
すれば自分の責任で仕入れたプレハブハウスでなければ担当する
リスクが大きすぎるし、当然政府がそんな責任負うはずもない。
公募を出すタイミングが遅すぎるのはおっしゃる通り。
でも、公募方法については妥当ではないかなと思います。
問題は、県内産材を活用した仮設住宅建設の公募のほう。
県内産材が不足していて施工できない業者が続出しており、
辞退するところもでてきているのだとか。
政府も輸入資材で代用することを黙認するようなのですが、
そんなことをして公募で要件を満たさないと弾かれた業者は
絶対黙っていないと思いますね。政府はどう対応する
つもりなのでしょうか。
投稿情報: じゅんたん | 2011/05/16 09:38