昨日は、「ending note」というとても素晴らしい映画をみました。癌患者のお父さんを撮るドキュメンタリーであって、みながらずっと号泣しました。是非とも皆さん観てほしいです。
映画の主人公は癌で亡くなりますが、先日読みましたオランダの面白い介護施設のことを読みました。
アルツハイマーの患者は人生が解らなくなってきます。少しでも慣れている生活が送れるため、家族といるのはもちろん理想ですけど、家族も疲れて、耐えられなくなって、老人ホームに入れる場合はあります。一度老人ホームに入った患者はいつもながらの環境を失います。
老人ホームはほぼ病院のような場所で、それは誰も慣れてはいません。そんな長い廊下の家に住んでいるのは、エリザベス女王ぐらい?なので、突然そういう場所に住まわされたら、混乱にイライラするのは当然です。ご親戚や友達や入院されて、お見舞いに行った際に、どこの部屋だったのか、あなたには覚えていますか。私はおおよその位置と、部屋の番号は覚えてはいますけれども、目で見て部屋のドア等は覚えていません。それからあんなフローリングの家に住んでいる人にも会った事がない・・・
老人ホームには常時に先生がスタンドバイしています。看護スタッフも皆白衣を着て、食べているところは他人に見られていますので、患者が怖がったり、暴れたりするのはおかしくありません。退屈や孤独でアルツハイマーが悪化する場合ももちろんあります。
ここで、オランダのWeespにはとても面白い、生活のシミュレーションをする「Hogewey」老人ホームがある。
いや、ホームではない。この施設は痴呆患者の住宅地がある。
アウトレットタウンほどの大きさ、広場、床屋、美容室、レストラン、カフェ、スーパー、フィトネススタジオ、劇場、畑、内外科、物理治療法の小さな病院もあります。近所の人ももちろん、この小さな村に入って、スーパー買い物したり、カフェでお茶したりすることは出来ます。
親戚が来るとカフェでお茶が飲めて、暇な時は畑仕事が出来ます。
スーパー、レストラン、床屋さん、に行ってはお金は何も払いません。
約150人の患者はもう一人暮らしは出来ませんが、この環境で自立しているように思わされています。
Hogeweyは何年前まではカフェやクラブ活動はなかったけれども、ただ普通の老人ホームだけでした。
一人一人に部屋があって、あまり患者同士の接触はなかったそうです。
今は大きなビルではなく、団地に挟まれて、小さな住宅地になりすましている。全23棟のテラスハウス、各棟には似たような育ちのある患者がハウスシェアをしています。
例えば、美術・芸術・音楽が好きな方は「文芸棟」に入居します(下の写真はそのリビングルームだそうです)。それから、「田園棟(田舎育ち)」、「洒落棟(裕福な暮らしをして来た方)」等もあります。 さらに、インドネシア系オランダ人も多いので、インドネシア棟まであります!
道路もちゃんと名前がついています。
まるで、「Truman Show」のような世界で、この老人ホーム自体は大きな舞台です: 床屋のお兄さん、カフェのお姉さん、スーパーのおばさん、皆看護スタッフなんです。ただ、白衣は着ていません♪
どこまでディテールに拘っているかというと、便座は病院のように黒いのではなく、オランダの普通の自宅の様な黒いものです。黒い便座に慣れているアルツハイマー患者は(老人ホームでの)白い便座を見て、目の前にある物はトイレであることは理解しないのが多いらしいです。なるほど。
ラジオもデジタルディスプレーで外来語が多く書いている物ではなく、40年代にあった大きくて、使いやすいラジオが置かれています。(中はきっとデジタルです・・・) 小型デジタルラジオはラジオであることも理解しない方が多いですと。
アルツハイマーの患者は運動したがることもありますので、ここでは自由に出来ます。住宅地内の散歩はもちろん、定期的に遠足があって、フィトネスクラブでも運動が出来ます。老人ホームは住宅地にかわってからは使用される薬の量は激減したそうです。
月に5000ユーロはすべて国が持っていて、遠足やクラブ活動だけは別料金になります。
この話について、色々な記事を読んでいた中に、この話は一番気に入った: 老人ホームで退屈で退屈で仕方なかったおばあちゃんは毎日の程娘さんが遊びに来ていました。生まれた時から知っていたお母様の人格がアルツハイマーのせいで、ぼろぼろ崩れていくのもさぞつらかったでしょう。しかし、あのおばあちゃんは六人でハウスシェアをすることになってからは、忙しくて、「お母さん、せっかく来たのに!」と娘さんは文句を言っています。
良い話でしょう?日本の高齢化で、これも一つのアイディアかもしれませんね。
「エンディングノート」ご覧になっていかがでしたか。病にむしばまれていくお父さんに自らを重ね合わせましたか。或いは、そんなお父さんを撮る娘に、感情移入をしましたか。はたまた、この映像を商品として世に送り出すプロデュサーに心酔しましたか。
ガンなどで自分の死期を知りつつ死んでいくこと、アルツハイマー型認知症によって人生で得た多くの部分を判らぬまま、日々失いながら生き長らえてしまうこと。残念ながら、自分自身では選ぶことができません。
ご紹介いただいたオランダの事例、日本にも30年ほど前からあります。違いは富裕層でないと利用ができないことです。お役人様達が悪さをするのも、日本では死に際にお金がかかるからだと私は考えています。5億円もの退職金を頂いて、「私にも老後がありますから」と言ってお辞めになったS社長も、極楽浄土のような施設で最期を迎えられるのでしょう。
わたしは、こぶ茶でもすすりながら愚痴言って、うるさがられて死んで行くのかなぁ。トホホ(;一_一)
投稿情報: asariya38 | 2011/10/17 22:40
在宅介護の場合でも、「料理で包丁や火は危ない」とか「散らかしてしまうから」とか”過保護”になって、本人がやりたい事、出来る事(時間は掛かっても)を抑えてしまうと余計に症状が進むそうです。鷹揚に構えて、”手伝わせてこき使う”くらいの気持ちで良いのかも知れませんね。
介護する側が頑張り(出しゃばり)過ぎない方が症状の改善も見られ、介護の肉体的、精神的負担も減るようです。在宅介護を”小劇場バージョン”とすれば、オランダの例は”大劇場バージョン”ですね。観客(娘さん)からは文句が出てるみたいですが。
『エンディングノート』、青森では来年上映。盛岡は11月上映予定なのですが、貧乏暇なし、上手く休みが合うかが問題(T_T)
「かわいい」は秋葉原ではなくビレバンだったんですね。『東京カワイイTV』に影響されました(^^ゞ)
投稿情報: molinobannin | 2011/10/18 23:35