購入決定は知名度だけに任せることはよくないと思いますので、正直、日本で買い物する時に、時々戸惑っています。特に化粧品を買う時に、どこを参照 すればいいのか分かりません。当然雑誌に情報は書いてあっても、そこでは化粧品会社がお金を払って書いてもらっていますでしょう?なので、本当に肌に悪く ないのか、動物実験が行われていないのか、わかりませんよね?
日本でこういう情報はどうやって手に入れればいいのか分かりませんので、けっきょく、化粧品はほとんどフランスとドイツ製しか使っていません。ドイツ人は製品を買う前は(もちろんその製品は長く持って欲しいこともあるから)徹底的に調べて買う人が多いような気がします。製品を比較して、評価するものは雑誌やホームページでも多いです。
車という巨大な買い入れだけではなく、ゲームや鍋も評価の対象となっています。
日本ではもちろん、ネット上でホテル、レストラン、製品の評価は出来ますが、それは消費者側だけであって、中立性が維持されている第三者機関による評価ではありません。
ドイツで、そこでStiftung Warentest(財団法人「商品検査協会」)が助けてくれます。
1964年に設立されてから、あらゆる製品のテストを行い、その結果を公表しています。1966年にはtestという雑誌も発行してはじめました。
父もその雑誌を一時講読していました。普通のキオスクで買えます。最新のテストデータは大きな新聞にも紹介されています。シュティフテュング・ヴァーレンテストの認知度が96%であって、83%と大変に信頼されています。大勢の消費者は購入する際にその商品テストを参考にすると言っています。
家電製品、おもちゃ、化粧品、マットレスなんでも対象となって、耐久性、環境配慮設計、有用性もなっています。おもちゃがテスト評価の対象になった時に、50品のうち42品に有害物が発見され、大きな騒ぎになりました。
冷凍ピザ、離乳食ももちろん徹底的に調べていて、現在EUへの輸出が制限されているフクシマの周りの12都道府県の食品も確認されています。
塾、ドイツ鉄道のサービス、海外旅行保険等のサービスも評価対象となります。一番驚いたのはダイエットの徹底的な調査と、シリコーン乳房植込みの調査です!
低評価の製品やサービスは当然消費者に避けられています。
シリーズの一つの製品だけが低評価を受けるだけで、メーカーの製品は一般的に避けられることになります。
当然、定評かは売れ行きが暴落した結果でメーカーは損害場所で財団を訴えるケースは一年に10回ぐらいあります。今までは一度も損害賠償を払う羽目にならなかったのですが・・・
好評の製品には「ヴァーレンテスト優良マーク」とラベル貼られています。広告にももちろん出ます。
評価はドイツの小学校の成績に似ていて、五段階で行われています
0.5–1.5点: sehr gut (優良)
1.6–2.5: gut (良)
2.6–3.5: befriedigend (普通)
3.6–4.5: ausreichend (可)
4.6–5.5: mangelhaft (不可)
たまに日本の宣伝でさえみられています。例えば、隣の写真の自宅用太陽光発電モジュールで京セラがその 評価を宣伝に使っています。
財団の収入は、雑誌の売り上げ、本の販売、インターネットでのテスト結果の発表、それからドイツ連邦食料・農業・消費者保護省の金でなりたっています。(省庁の出資で雑誌に広告・宣伝は出さなくてすんで、財団の中立性が保たれます。) このように試験を行っている過程での独立性・誠実さと公平(independence, integrity and impartiality)が保証されます。
財団の従業員はまず市場を分析して、製品が候補にあがっているときには、まず定款通り委員会に表決されてから、消費者団体、学者及び中立専門家で出来ている部外の審議会で論議されます。試験の対象となっている製品の数も限られているため、もっとも販売台数の多い物が評価されています。試験自体は財団が行うものではなく、世界の第三者機関に依頼しています。
それからテスト製品は、試作品や全シリーズのモデルではありません。製品は普通にデパートや通販で購入されますので、消費者が入手する製品と同じものです。
試験はたぶん想像しにくいかもしれませんけれども、例えば、10種類の折り畳み式携帯電話は何千回も折りたたんで、壊れるのかを観ます。おもちゃは子供が落とすので、10種類のおもちゃの落下試験を行います。後は子供が口にするものなら有害性の試験、老人が使うならユーザビリティーですとか・・・ きりがありません。
こういった対策がとられているため、試験結果の客観性が保たれています。結果が公表される前に、確認・表明するチャンスを与える目的で、結果が一度メーカーに伝われます。雑誌の編集担当は試験結果を文章にしますが、試験結果と雑誌で書かれている文章に不一致がないことを検証する担当も何人かいます。
ベビーシートのシートベルト付けやすさ、DVDレコーダーのプログラミングのわかりやすさ等という客観的な測定が出来ない評価は代表的と思われる使用者が評価します。その中には再生可能エネルギー電力供給会社の評価も含まれています。本当に自分の電力は原発の電力が入っていないのか、第三者機関が評価しています。
ヴァーレンテストの弱50年の歴史では85000品の製品と1800のサービスが評価の対象となりました。
こういう雑誌はドイツの国民性もみえるかもしれません。ただ、丈夫・頑丈を求めるのではなく、その実証もしっかり勉強して行きたいです。安全性は保障できないから、原発も昔から反対していたかもしれません。
すばらしい話題提供、ありがとうございます。日本にもあるのですよ、おっしゃるような団体。
日本消費者連盟http://nishoren.net/
食の安全・監視市民委員会http://www.fswatch.org/newsletter/26.html
日本では精いっぱい活動をしているものの、力不足は否めません。
昔から化粧品の「安全安心」に挑んでいましたが、女性の美への探究心は望んで毒を取ることもいとわないので"諦めてしまった"というのが正直なところでしょうか。「すっぴん」を極端に怖がる日本の女性の心理、ぜひ掘り下げてくださいませ
投稿情報: asariya38 | 2012/01/24 09:59