ドイツの新聞を見ると、
「So gut wie alle deutschen Solarzellen- und -modulhersteller sind in Nöten. 」
のような台詞はよく見かけます:
「ほとんどのドイツ太陽電池及び太陽光発電モジュールのメーカーは悪戦苦闘しています。」
大手電力会社e.onの役員、マウバッハは5年内にドイツの太陽光発電産業が絶滅すると言っています。確か に、ドイツの太陽光発電メーカーは今大変です。Solon、Solar Millennium、Solarhybrid 及びQ-Cells はここ数週間支払不能(Insolvenz)を申請しました。Conergyも資本削減され、Phoenix Solarもは資金調達で困っています。
ドイツの新聞ではその原因が
① 中国、インド、南米の会社のグローバル進出、それらの会社の投売り価格
② 米国と違ってドイツ政府は対しダンピング防止措置がとられていなかった事
とされています。
今は、グローバルTop10に入る太陽光発電メーカーのほとんどは中国のメーカです。ドイツの製品より安いだけではなく、品質も同じです。ドイツの屋根の半分当たりには中国製の太陽光発電モジュールが乗っているとみられています。
SMA Solarという太陽光モジュールのインバータを製造している会社だけは黒字が出ています。太陽光モジュール以外の様々なインバータを製造している事も大きいかもしれませんけれども、そこでも価格の暴落で収益が減少しました。
③ 固定価格買取制度の段階的廃止も、支払不能の一つの原因である
と主張している方はいますが、
「過激的削減と徹底的打撃政策で、太陽光は業界は急激に悪化した。」と緑の党の事務局長、シュテフィ・レムケが批判する。「全く関係ない」と主張している方の方が多い気がします。
支払不能になったとは、役員の決定・経営方針も大きかったと報道されています。
※ Q-Cellsはセル製造に集中した。しかし、価値連鎖全体を所有することなく、なかなか調整は出来なかったでしょう。
※ 海外に外注することなく、ずっとドイツで製造した。
※ シリコンの一時的な値上げも大きかったとされています。純シリコンの製造業者(Wacker Chemie やHemlock)は高価購買を法的拘束力のある長期納入契約を強いっていました。シリコンの価格が暴落してからは、競争相手はシリコンをほんの一部の捨て値で購入する事が出来ましたけれども、Q-Cellsは相変わらず高額で購入しないといけませんでした、。
※ Q-Cellは色々なセル技術に投資していました。従来のシリコン以外には、薄膜太陽電池に投資しているところもありました。
おそらく、固定価格買い取り制度の段階的廃止はQ-Cellsの支払不能と関係ないようです。固定価格は50ユーロセントにあったにもかかわらず、2008年の最高値98ユーロから継続的的に下がりました。
中国、インド、南米の会社の投売り価格を防止するための対しダンピング防止措置を取るべきとの声も聞いていますが、それに反対している声もあります。
しかし、太陽光発電産業は一時的に優遇されても、数年後に自立しないといけないんですよね。いつまでも支援する事は無理でしょう。
「ドイツ経済は外交貿易と、自由市場に依存しているため、対しダンピング防止措置を取る事は裏目に出る可能性もあります。」 とハレ大学のブルーム教授のように、そういった装置はやめた方が良いと批判する人も少なくありません。
ボッシュのように、一つ、二つの会社は決定的なサイズを持っていれば、中国メーカーと競争する事が出来るかもしれません。
しかし、皮肉なところ、太陽光モジュールの〔需要を上回る〕過剰生産能力に悩まされるのはドイツの会社だけではなく、中国の会社も悩まされています。
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