ダニエルさんがツイッターでも報告した通り、ドイツの電気取引所での電気の卸値「2011年にEUの平均価格より安くなった。」、それから、卸値が減りつつある。消費者の電力料金が上がっている、主な原因は再生可能エネルギーの固定価格とよく言われます。日本のメディアにもドイツの電力料金の値上げの原因が固定価格買取り制度であると騒がれました。
その詳細は今度説明しようと思いますが、今日はベルリンにあるDIW Berlinの電気料金の調査を紹介したいと思います。
DIW Berlinはドイツ経済研究所と訳し、1925に出来た独立している研究所です。「登記社団」の団体であって、簡単に上と、日本の一般社団法人に似たものです。ただ、 営利を目的としない事、誰でも登録できる団体は異なっています。景気政策、マクロ経済学、国家、確信・産業・サービス、競争・消費者、気候政策、エネルギー・交通・環境、開発・安全という部門で研究を進んでいます。その一つの調査は、ドイツの電力料金の値上げの見込みです。
今回は「Strompreise: Künftig nur noch geringe Erhöhung durch erneuerbare Energien」と、「電気料金: 再生可能エネルギーのせいでの値上げはわずか」という調査を出しました。
その調査で、燃料及びCO2削減証明書の値上がりが見込まれるのにもかかわらず、電気取引所での電力料金は2010-2020の間、(インフレ率調整後の数字では)11%のみ上がる見込みだと分かりました。
2020年まで再生可能エネルギーの電力は今の二倍ぐらいになりますのに、固定価格買い取り制度の補償金は現時点の3.64セント(3.54円)より少しだけ高くなります。
その値上げの主な理由は新規発電装置の買い取り価格の逓減速度(degression)でしょう。2020年の電力料金は1kwHあたりに5.1セントになると見込まれています。それはドイツは原子力撤廃を決めても決めなくても同じ料金だそうです。
それから、再生可能エネルギーのさらなる増設(促進対策)、エネルギー効率性の高い建物への改築、原子力撤廃政策等がなければ、電気料金は1kwhあたりは7セントにまでなる、つまり20%の値上げが見込まれるという。
(調査の、脱原発シナリオでは、エネルギー効率性の向上が前提となっています。原子力使用のシナリオでは効率性が考慮されていません。)
「エネルギー効率性の効果は軽視されています。より高い効率性は原子力撤回の費用を緩和できます。ガスや石炭は値上がりしても、再生可能エネルギーの増設が原因で取引所での電力料金はあがりません。」とDIW専門家ケンフェルトさんのコメント。
上に話しました、電気取引所での卸値は一般家庭が払う電気料金の三分の一に過ぎません。それもあって、一般家庭の電力料金がこれから大幅に下がるという事はないでしょうとも言われている。残りの3分の2は、再生可能エネルギー固定価格、電気使用料金、電力会社のマージン、電気税等々で成り立っています。2012年では電送網使用料金の大幅な値上げもありました。発電、送電、運営は2000年から62%も値上げ、電気税は2000年からも60%もの値上げでした。
電気料金が高くなったのは、固定価格買取り制度のせいだけではありません。まあ、それはまた次回、詳しくね。
> 固定価格買い取り制度の補償金は現時点の3.64セント(3.54円)より少しだけ高くなります。
2013年の賦課金は5.277ユーロセント/kwhと大幅に上がるようですが、
ドイツ世論に「産業界を優遇するな」といった反発などはないのでしょうか。
雪だるま式に賦課金が増えていくことの議論などはあるのでしょうか。
日本から見るとわからないことだらけです。
投稿情報: FITを考える人 | 2012/11/17 04:16