ドイツケルン市がある大司教区にはカトリック教会が経営している病院は50軒もあります。
皆様はご存じないかもしれませんが、カトリック教会はいくつか、「マジで?」というような方針があります。
例えば、カトリック教会が経営している学校の教員は離婚してはいけません。離婚したら、即クビ。
独身の先生は妊娠してはいけません。できちゃったら、すぐに結婚しないといけません。
という時代遅れの方針です。
もっともひどいのは、避妊です。
神様にもらった身体には命が宿る事は神聖ですから、その命を拒んではいけません。何があっても、コンドームは使ってはいけません。(エイズはどうするの?)
それから、中絶は殺人に当たりますので、中絶もしていけません。
そういう方針の中では、先日ケルン市のカトリック教会が経営している病院二軒でも強姦された女性一人は診察を拒否されました。
25歳の女性はパーティーの後に公園のベンチに目覚まし、強姦の目的で薬でも飲ませたのかと思い、警察に行きました。痕跡確認という目的で被害者の救急医による診察が行われます。
ドイツは個人経営の病院が順番に救急医を担当し、その担当している病院には24時間に飛び込んでもいい事になっています。被害者の女性は個人経営病院の救急医の女医に診察され、「強姦の恐れはあるため、産婦人科の診察が必要」と言われましたため、大きな、カトリック教会が経営している病院にいってみたところ、二件でも診察を拒否されました。
「こちらは痕跡確認のための診察は二ヶ月前に禁止となりました。」
その理由は、妊娠の可能性があるからです。
妊娠の可能性があれば、胎児薬を処方する相談にも乗らないといけないわけです。
この女性の場合は、その相談は既に終わり、避妊薬も処方したと救急医が指摘しても病院は診察を拒否し続けた。
それだけではなく、病院の規則に反する先生はクビになると。
カトリック教徒の博愛はどうなっているの?もちろん、自分の意見を人に説明する権利は誰でもありますけど、その意見を人に無理やり押し付ける権利はありません。
強姦された気持ちは知らないけど、知りたくはありませんが、この女性は被害者扱いではなく、加害者(つまり、中絶という罪をおこす加害者)とみられていてかわいそうで仕方ありません。暴力犯罪の被害者である事を全く無視されています。
先日カトリック教会職員による子供の性的虐待もドイツで社会問題になって、教会の反応はよろしくありません。強姦加害者に味方をするの。
あんな状態の女性にまず、どこの病院へ行けばいいのかと調べてもらうとは、極めて侮辱的な要求です。
援助を提供する職務怠慢(Unterlassene Hilfeleistung)、業務上過失、又は「犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪」にもなると思います。
診察拒否するなんて、経営許可は略奪されてもいいじゃないかと思います。
その病院の先生方もおそらくヒッポクラテスの宣誓に従って行動しているのにもかかわらずクビと脅迫して良いですか。(古代ギリシャ、医学の祖とされているヒッポクラテスの宣誓は今でも、医師が実務に就く時に宣誓する倫理綱領です。)
道徳上でこのような反応をするのであれば、その原則を守り通さないといけません。ドイツ国家から助成金ももらっていますので、ドイツ社会が受け入れる価値観に従って、そのサービスも提供しないといけないと思います
その病院は完全に私立病院にならないといけません。助成金はありません。国の健康保険と交渉することはもうありません。
最後に一つ、病院の浅ましい態度についてのツイッターでのコメント: 「犯行時間帯にケルンのカトリック教の司祭と医者は現場にいなかったことを証明できますか。」
ああ、随分長くぶつぶつ言いました。今度また再生可能エネルギーと落語の事を書きます。
コメント